世界PC出荷、2四半期連続成長 アップル最大の伸び

AI要約

米調査会社のIDCによると、2024年4-6月期の世界パソコン出荷台数は3%増の6490万台で、AIパソコンへの期待や業務用パソコン買い替えが成長をけん引。

上位メーカーではアップルが特に伸び、AIパソコンへの期待が高まっている。今後の新製品や製品展開に注目が集まる。

世界パソコン市場は24年には回復し、買い替えサイクルやAIの統合、消費者需要が成長を牽引する見込み。

 米調査会社のIDCがこのほどまとめたリポートによると、2024年4~6月期の世界パソコン出荷台数(速報値)は前年同期比3%増の6490万台だった。AI(人工知能)対応デバイス、いわゆる「AIパソコン」への期待が高まっていることに加え、業務用パソコンの買い替えが進み、2四半期連続のプラス成長となった。

 調査を担当したIDCグループ・バイスプレジデントのライアン・リース氏は、「パソコン市場は他のテクノロジー市場と同様に成熟と逆風によって短期的な課題に直面している」と指摘。しかし、「2四半期連続の成長と、AIパソコンへの期待、そして企業の買い替えサイクルが市場を活性化させる要因になった」とコメントした。

■ アップル2割増、上位5社で最大の伸び

 メーカー別出荷台数は、首位の中国レノボ・グループが前年同期比3.7%増の1470万台。2位の米HPは1.8%増の1370万台、3位の米デル・テクノロジーズは2.4%減の1010万台だった。

 この後、米アップルが570万台で続いた。同社の前年同期比伸び率は20.8%で、上位5社の中で最も高かった。次に伸び率が高かったのは台湾・宏碁(エイサー)で、13.7%増の440万台だった。

 IDCによれば、業界の主要プレーヤーは最近、AIパソコンに対する初期戦略を打ち出しており、主に業務用パソコン市場の可能性に期待している。こうしたなか、24年後半に発売される新製品でアップルがどんなメッセージを発信するかに注目が集まっている。加えて、半導体メーカーの米クアルコム、米インテル、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)もAIパソコンをアピールするとみられ、そちらも注目されるという。

■ 世界PC市場、24年は年間ベースで回復へ

 世界のパソコン出荷台数は、22~23年に7四半期連続前年割れで推移した。これはパンデミック(新型コロナウイルスの世界的大流行)期における特需からの反動減だった。しかし、24年1~3月はプラスに転じ、続く24年4~6月も回復を維持した。

 この傾向は今後も続き、24年は年間を通して前年比3.4%増になるとIDCはみている。その主な要因は以下の3つだという。

 (1)買い替えサイクル:現在、24年の終わりまでに使用年数が4年を超える比較的古い業務用パソコンが大量に稼働しており、今後買い替えが進むと予想される。

 (2)AIの統合:パソコンへのAI機能の統合(AIパソコン)が、買い替え需要のけん引役になるとみられる。AIパソコンは当初、特定の業務分野に向けて、24年に市場に投入される。だが、その後のユースケースの多様化とコスト削減によって、より広範な市場に広がると考えられる。

 (3)消費者需要:上述した要因の総合的な影響により、消費者向けパソコンの回復と継続的な利用台数の増加が見込まれる。

■ 中国市場が世界成長率を押し下げ

 一方、中国市場は低迷しているようだ。24年4~6月期は同国での出荷台数の減少が世界全体の成長率を押し下げる格好になった。

 前述した通り、同四半期の世界パソコン出荷台数は前年同期から3%増加した。しかし、低迷する中国を除いた場合、この伸び率は5%超になるとIDCは分析する。