極私的パーツ名鑑 ⑤~⑧【自作PC史&極私的パーツ名鑑】

AI要約

技術的な素性のよさやオーバークロック性能、BIOSでのOC設定ができる画期的なマザーボード、斬新なデザインの高級PCケース、初期の水冷キットの挑戦と課題について紹介しています。

自作パソコンのレジェンド製品やその特徴、当時の自作文化に与えた影響、製品ごとの魅力や課題、その時代の興奮が溢れる記事になっています。

過去の自作パソコンの魅力や進化、事業の成功と失敗、技術的な挑戦と革新、ユーザーの熱狂と失望が描かれ、読者に懐かしさや感動を与える内容です。

極私的パーツ名鑑 ⑤~⑧【自作PC史&極私的パーツ名鑑】

■ Intel Celeron 300AMHz 実売価格:33,000円前後(掲載当時)

□自作界不動のレジェンドは技術がすごかった

 300Aのすごさはいくつもあるが、筆者としては技術的な素性のよさを強調したい。と言うのもこの300Aには「フルスピード2次キャッシュのダイ統合」という、当時のPentiumⅡ(カートリッジ基板上にハーフスピード2次キャッシュ実装)よりも進んだ技術が投入されていた。その効果は抜群で、使用感は300MHzのPentiumⅡと大差なく、それがオーバークロックであっさりと450MHzで動いた。当時はクロックが性能に直結、体感の快適さも連動したから感動度がケタ違い。当時2万円ちょっとのCPUが10万円近いCPUとほぼ同等になる旨みはすご過ぎた。

□自作への貢献度は表彰もの

 とにかく旨みがすご過ぎた300A。ジャンパで操作していたOCがBIOSでできるようになるなど、マザーボードを大きく進化させたほか、CPUクーラーや変換アダプタのような便利パーツの開発も促し、自作業界へ多大な貢献を果たした

[TEXT:鈴木雅暢]

■ ABIT Computer AB-BH6 実売価格:18,000円前後(掲載当時)

□BIOSでOC設定ができるのはまさに画期的だった

 Slot 1タイプのPentiumⅡやCeleronのオーバークロックが流行していた頃の大ヒットモデル。最大の特徴は、CPUのベースクロックや動作倍率、電圧などの設定がBIOSで行なえたこと。この機種以前は基板上のジャンパで設定を行なっていたので、BIOSで手軽にOC設定ができるのはまさに画期的であった。このマザーボード自体もOC耐性が高かったこともあり、当時、OCをやりたい人はこぞって購入した。筆者もOCで遊ぶ用に愛用していた。なお、遊ぶ用に限定していたのは、結構作りが粗く不安定で、仕事用マシンとしては怖くて使えなかったからだ。

□BIOSで設定できるのは今では当たり前だが……

 ABITが、最初にBIOSでCPUのベースクロック、動作倍率、電圧などの設定をできるようにしたメーカーだ。こまごまとした基板上のジャンパ設定、それから解放されたことはまさにエポックメーキングだった

[TEXT:滝 伸次]

■ ソルダム WiNDy JAZZ LV 実売価格:40,000円前後(掲載当時)

□所有欲を最高に刺激した斬新なデザイン

 星野金属のアルミケースが醸し出す高級感、ソリッドな雰囲気は自作好きの憧れだった。しかし、電源付きで1万円以下が普通だったPCケースにおいて、3万円から4万円という価格はハードルが高く、当時まだ20代前半の若手編集者だった筆者にはなかなか手が出なかった。それでも買いたいと思ってしまったのが「JAZZ」だ。フロントがナナメになった独特のデザインは多くの人を惹き付けた。筆者が購入したのは2000年発売の「JAZZ LV」で4万円前後だったはず。PCケースの購入でこれほど満足感を得ることはこの先あるだろうかと思うほどお気に入りだった。

□ケーブル配線が厳しい内部構造

 フロントがナナメということは、当然ながら前面側にある3.5インチと5インチベイもナナメに配置されるわけで、内部スペースはかなり狭かった。5インチベイに複数のデバイス接続していた筆者はケーブル配線にかなり苦労した記憶がある

[TEXT:芹澤正芳]

■ SENFU Super超頻水郷 実売価格:8,000円前後(掲載当時)

□水冷キットの始祖? 水漏れ対策で四苦八苦w

 初見は確か台湾は台北の光華商場。Super超頻水郷シリーズは最初期の水冷キットと言える。水枕やリザーバータンク、ポンプといった構成は現在と同じだが、とにかく作りが雑だった。パイプやポンプも熱帯魚水槽用を流用していたりして、接続部分からの水漏れは当たり前で冷却効率もさほど良くない。しかし後のSuper超頻水郷IIではかなりの改善が見られ、さらにファン2基を搭載したラジエータユニット「超頻芭蕉扇」なども登場する。そのまま進化し続ければ水冷市場の一翼を担う存在になれたかも。まあとにかく水漏れ要注意のキットではあった(遠い目)。

□当時水冷パーツはちょっとしたブームだった

 今で言うところの簡易水冷より本格水冷に近い構成である。類似のキットも多数登場し、オプションもバラエティに富んでいた。中にはペルチェ素子を使ってラジエータ部で強制的に熱交換をする製品もあった

[TEXT:髙橋敏也]

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