民俗博物館に涼をとる〝氷柱〟登場 「センスいい!」と思いきや… エアコンを使えない切実な理由

AI要約

奈良県立民俗博物館が展示室に氷柱を設置し、空調設備が故障したため7月16日から休館することが明らかになった。

氷柱は熱中症対策として設置され、昔のくらしをテーマとする博物館にマッチするアイデアとして好評を得ている。

博物館の建物の老朽化が進行しており、展示品への影響は今のところないとされている。

民俗博物館に涼をとる〝氷柱〟登場 「センスいい!」と思いきや… エアコンを使えない切実な理由

「氷柱をご用意しました。扇風機でひんやりした空気を館内に送っています」――。そんな博物館のSNS投稿が話題になりました。氷柱で涼をとるなんてセンスがいいと思いきや、実は「切実な理由」があるといいます。

話題になったのは、奈良県大和郡山市にある「県立民俗博物館」の公式Xの投稿です。

展示室にある大きな氷の写真とともに、「氷柱をご用意しました。扇風機でひんやりした空気を館内に送っています」といった文言が書いてあります。

この投稿に、「対策に氷柱を持ってくるセンス。さすが民俗博物館」「とても心地よい風がくると聞いたことがある」「展示品と雰囲気がマッチしてますね」「工夫する気持ちも素敵です」といったコメントが付いています。

一方で、博物館の投稿には、「当館は空調設備が壊れてしまっていることも理由の一つとして、7月15日で展示とはしばらくお別れとなります」とも書いてありました。どうやら奈良県立民俗博物館は7月16日から休館となるようです。

氷柱を用意した理由や休館について、担当者に聞いてみました。

民俗博物館は1974年に開館。県民からの寄贈などをもとに、大正から昭和初期の生活用具や農具など計約4万5千点を収蔵しています。

開館から50年ほど経ち、建物の老朽化も目立つようになっていました。そんななか昨年、空調が完全に故障してしまったそうです。

そこで、来館者の熱中症対策などのために氷柱を置くことになりました。設置するのは、学芸員ガイドツアーのある7月6~7日、13~15日です。

氷柱は底面が30cm四方で高さ50cmの四角柱。1日あたり2本を、県内の伝統のある製氷業者から購入しているそうです。

提案したのは博物館の事務職員。「民俗博物館が対象とする『昔のくらし』との親和性が高い」「奈良県という土地は製氷の歴史がある」といった理由からだそうです。

担当者は「展示室は吹き抜けもあってかなり広いので、氷柱の周囲がほんのり涼しい程度ですが、むしろ涼感は氷が溶ける音や見た目から感じていただけます」と話します。

今のところ、空調の故障による展示品への大きな影響はないということです。