三井不動産、ドローン実験場や保育所など併設する「街づくり型物流施設」推進へ

AI要約

三井不動産は新事業戦略を策定し、ロジスティクス事業の成長に注力することを発表した。

コア事業の拡大や事業領域の新展開、ESGへの取り組み強化など、具体的な取り組みが示されている。

さらに、国内外での開発施設の増加や新しい取り組みの展開が計画されている。

三井不動産、ドローン実験場や保育所など併設する「街づくり型物流施設」推進へ

 三井不動産は7月11日、今後のロジスティクス事業における新事業戦略を策定したと発表した。また国内で新たに8物件の開発を決定し、累計総投資額が約1兆2000億円に達したことも公表した。

 新事業戦略は4月に公表した新グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」に基づくもので、「コア事業のさらなる成長」「事業領域の拡大」「ESG(Environment、Social、Governance)への取り組み強化」の3つを掲げる。

 コア事業のさらなる成長では、街づくり型物流施設の開発を推進する。地域に開かれた広場や保育所を併設した「MFLP 船橋」、職業訓練施設が入居する複合用途施設の「MFIP 羽田」のほか、9月末には日鉄興和不動産との共同事業による「MFLP・LOGIFRONT 東京板橋」が竣工する。

 街づくり型物流施設では、ドライバーを含む7000名以上の施設利用者に満足度調査を実施し、働き手の利便性を考慮してコンビニや休憩スペースなどを充実させる。また、地域防災への取り組みとして防災備蓄倉庫を設置するほか、MFLP・LOGIFRONT 東京板橋ではドローンの実証実験フィールドを提供するなど、付加価値を創出することでエリア全体の価値を高めていくという。

 さらに、DXを活用した物流の自動化、注文受付や配送手配などのフルフィルメントサービスを提供し、EC事業者を支援する「MFLP &LOGI Sharing」の開始、バース予約システム「MOVO Berth」の標準設置、伊藤忠商事のフィジカルインターネット構想への参画などを行い、「物流の2024年問題」に対応していくとした。

 事業領域の拡大では、拡大する食品ECやチルド配送の需要に応えるため、全館冷凍・冷蔵庫倉庫の開発を進めるほか、2018年に施行された改正オゾン法に定められている自然冷媒への転換も目指す。

 また生成AIや5Gの普及による需要の高まりを捉え、データセンター事業を強化する。さらに、物流用途だけではない産業活性化に寄与する施設として、工場やインフラストラクチャー事業へも参入していくとした。

 ESGへの取り組み強化では、オンサイトによるグリーン電力の供給を進める。また、2024年度中の着工を予定している「MFLP 海老名」では、三井不動産グループが北海道に保有する約5000ヘクタールの森林の木材を、構造材や仕上げ材の一部に活用したという。

 開発施設は、これまでの67物件に加えて新たに8物件の開発が決定し、国内外開発施設は計75物件となる。2024年度は「MFLP 仙台名取Ⅰ」「MFLP 名古屋岩倉」に加え、9月にMFLP・LOGIFRONT 東京板橋、2025年2月に「MFLP 横浜新子安」が竣工予定だ。

 三井不動産で執行役員 ロジスティクス本部長を務める篠塚寛之氏は、「建築コストの上昇などマーケットは厳しい状況にあるが、ゼネコンと協業しながら事業機会を獲得していく。不動産デベロッパーの枠を超えた『産業デベロッパー』として、社会のイノベーションや付加価値の創出に貢献していく」とした。

プレスリリース