コロナ禍で「Amazonが最も成長した」「ECが成長した」の真偽は? 米EC専門誌が解説するグローバルECの実態

AI要約

米国のEC専門誌による調査で、コロナ禍でEC市場やAmazonが成長したという通説は誤りであり、実際にはコロナ禍以前からEC売上高が成長していたことが明らかになった。

コロナ禍を契機にEC売上高は急成長したものの、コロナ禍以前からの成長率を上回るペースではなかった。特にトップ1000社の2016年から2019年のEC売上高成長率が18.6%であることが示された。

小売チェーンがAmazonをしのぐEC成長率を示しており、市場の動向やEC企業の実績が一般的な予想と異なることが報じられた。

コロナ禍で「Amazonが最も成長した」「ECが成長した」の真偽は? 米EC専門誌が解説するグローバルECの実態

米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』が実施した北米のEC売上高調査によると、必ずしも「コロナ禍でEC事業者が成長した」とは言えないこと、Amazonがコロナ期間中に最も成長したとは言えないことがわかりました。実際には市場のEC売上高はコロナ禍以前から成長していたり、Amazonよりも小売チェーンのほうがコロナ禍中の年平均成長率が大きいことがわかりました。

 

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コロナ禍でEC市場が加速したわけではなく、さらに、Amazonが成長したとは言えない。

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この一般的な通説とは逆の結論が、『Digital Commerce 360』発表の2024年版「全米EC事業トップ1000社/トップ500社レポート」のデータから浮かび上がってきました。

コロナ禍の初期、多くの実店舗が閉鎖され、消費者がオンラインでの買い物にシフトしました。その際、多くの有識者やアナリストが、コロナ禍はオンライン販売の成長を加速させ、なかでもAmazonが最も多く売り上げる勝者になるだろうと予測していました。

コロナ禍が終息した今、その予測は両方とも外れていたことがわかりました。

『Digital Commerce 360』は、北米を拠点とする大手小売事業者およびメーカー1000社のEC売上高を基準に、2019年から2023年までのEコマースの成長率を調査し、「全米EC事業 トップ1000社/トップ500社レポート」でその結果を発表しました。その結果は驚くようなものでした。

■ コロナ禍前から成長し続けてきたトップ1000社

世界的にまん延したコロナ禍のパンデミックにより、トップ1000社のEC売上高が急成長したのは事実です。実際、世界のEC売上高は、2023年に初めて1兆ドルを超え、2022年比で6.9%増加しました。

また、2019年から2023年にかけてトップ1000社のEC売上高は年平均成長率(CAGR)17.2%で増加し、2019年比でほぼ倍増しました。

しかし、データによると、コロナ禍以前からこれをしのぐペースでEC売上高は成長していたのでした。トップ1000社の2016年から2019年のCAGR率は18.6%。パンデミック期間のCAGRを大きく上回っています。

■ AmazonをしのぐEC成長率となった小売チェーン