“ごほうび”を受け取れなかった人たちの物語、カレーカレーグループ「ワーニャ伯父さん」開幕
山田陣之祐と鹿内聡によるカレーカレーグループがアントン・チェーホフの「ワーニャ伯父さん」を上演する番外公演が開幕
山田陣之祐が上演を自信を持っていると語り、観客に美しいものを提供したいと述べる
ワーニャ伯父さんを演じる鹿内聡が演劇にごほうびを求める人々の物語について言及し、公演への期待を伝える
「カレーカレーグループ 番外公演『ワーニャ伯父さん』」が、昨日9月20日に東京・元映画館で開幕した。
これは、山田陣之祐と鹿内聡によるカレーカレーグループが、アントン・チェーホフの「ワーニャ伯父さん」を、山田の上演台本・演出で立ち上げるもの。山田は「僕は今回の上演をとてもいい舞台だと思う。自分たちがやったこととはいえ、そういうふうに断言できることはそう多くはない。来場者数欲しさにハッタリかましているわけでも、役者やスタッフに気を遣って言っているわけでもない。勝手かもしれないけれど、自分が美しいと思うものを、他の人も美しいと思うのか、とても知りたい。色んな人に観て欲しいです。ぜひ来てください」と述べる。
ワーニャ役を務める鹿内は「今回は20代から30代の若手俳優で『ワーニャ伯父さん』に挑みます。出演者のみなさんは演劇の他にすべき事があって、合間を縫って都合をつけて、稽古をして公演に出ます。大変そうです。僕の場合、それでもなんとか頑張れるのは、この先に何かごほうびがあるんじゃないかと思えるからです」と言い、「例えば『ほめられる』『演劇で生活できるようになる』とかですね。すぐ後でも、何十年後とかにでも。演劇じゃなくても普通に仕事とかでも、そういう考えで頑張り続けてる人は少なくないと思います。『ワーニャ伯父さん』はそういったごほうびを受け取れなかった人たちの物語といえます。そんなお芝居を今の自分達がつくってるのはなんというか皮肉な感じがします。戯曲を締めくくるセリフは映画に引用されたことでも有名です。ただそこまでの内容をちゃんと知っているのと知らないのとでは受け取り方が大きく変わると思います。長い時間をかけて絞り出すように出てくる言葉が、ほとんど宇宙みたいな輝きに触れる瞬間があるのです。休憩を入れて2時間15分という、決して短くない上演時間を劇場で共に過ごした人だけが味わえるごほうびともいえるような。観ていただいた皆様にそう思ってもらえるように僕たちは頑張ります。日暮里でお待ちしております」とコメントした。
上演時間は、休憩を含む2時間15分。公演は9月24日まで。
■ カレーカレーグループ 番外公演「ワーニャ伯父さん」
2024年9月20日(金)~2024年9月24日(火)
東京都 元映画館
□ スタッフ
作:アントン・チェーホフ
上演台本・演出:山田陣之祐(英訳:Marian Fellからの重訳)
□ 出演
鹿内聡 / 隈田璃南 / 山田裕記 / 瀧上ねね / 光岡紗良 / 與那城史登 / 六条宮子 / 関口洋平 / 會田涼馬