令和のテレビ界の潮流 「放送回数減らし」の功罪

AI要約

『ジョンソン』が人気番組から急速に放送回数を減らし、終了の危機に直面している。

放送回数の減少は他の番組でも見られ、視聴者の視聴習慣が変化していることが背景にある。

放送回数を減らすことで新番組の試行が容易になり、スタッフの働き方改善にもつながっているが、人気格差やモチベーション低下の懸念もある。

令和のテレビ界の潮流 「放送回数減らし」の功罪

『かまいたち』『見取り図』『モグライダー』ら売れっ子芸人たちが出演する『ジョンソン』(TBS系)が今秋で終了すると一部で報じられた。

「『ダウンタウン』や『さまぁ~ず』らの豪華共演で人気を博した『リンカーン』の″後継″と謳い、昨年10月から鳴り物入りでスタートしたのですが……春以降は放送回数が激減。6月は放送が一度もなく、そのことすら話題になっていなかった」(スポーツ紙芸能担当記者)

放送回数が減った番組は『ジョンソン』に限らない。近年、″毎週放送されないレギュラー番組″が増えているのだ。

制作会社ディレクターが解説する。

「たとえばフジテレビの看板ドラマ枠の″月9″のように、これまでは″何曜日の何時から放送しているか″を視聴者に認知させることが、ヒットの近道とされていました。視聴習慣が大事にされてきたのです。ところが、令和に入って見逃し配信が定着したことで、放送時間を気にする視聴者が激減。そこに制作費の削減が追い打ちをかけた。2~3時間のスペシャル番組を増やして素材を有効活用しつつ、放送回数を減らす戦略を各局が取るようになったのです」

『ジョンソン』のように放送回数が減ったことで視聴者が離れた番組があれば、逆に成功した番組もあるという。

「『新しいカギ』(フジテレビ系)です。コントを軸にしていたころは数字が停滞。打ち切り説も囁かれていましたが、視聴者参加型の『学校かくれんぼ』企画がヒット。隔週放送ながら、小道具を作製する様子から見せるなど、じっくり時間をかけてクオリティを保ったことが成功に結び付いた。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)も月1~3回の放送になっていますが、そのぶん、旬なアーティストをブッキングすることで盛り返している」(キー局プロデューサー)

レギュラー番組の放送回数減らしには、まだまだメリットがある。

「これまで、4月や10月の大型改編期にしか放送できなかったパイロット版の特別番組を試せる機会が増えた。視聴率の悪い番組を打ち切って、新番組に差し替えるスピードが格段に速くなりました。あと、単純に番組の進行スケジュールに余裕ができたので、スタッフたちの働き方は格段に良くなったはずです」(同・キー局プロデューサー)

その一方で、「毎週放送されている番組との人気格差は確実に広がっていく」と制作会社幹部は危惧する。

「中京テレビ制作の『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』が根強い人気を誇るのは、やはり毎週放送していることが大きい。あと、社外スタッフや出演者のギャラはオンエアごとの支払いになるので、放送回数減らしはモチベーション低下にも繋がるでしょう」

ただ、放送回数減らしのトレンドは今後も続きそうだ。

「『オモウマい店』のように、毎週放送でクオリティを保てている番組はごく一部。今は見逃し配信の再生回数も重要視されるので、クオリティの維持が優先されます。再生回数が低いとスポンサー受けも悪いですから……」(広告代理店関係者)

オンエアを毎週楽しみにしていたあの日々が、遠くなりつつある――。

『FRIDAY』7月26日・8月2日合併号より