日中韓首脳会談、世界市場支配を狙う中国の「産業網」協力要求を日本拒否…共同宣言交渉

AI要約

日中韓首脳会談の共同宣言とりまとめに向けた交渉で、中国側が産業網の協力強化を求めるも、日本側が拒否。日本は供給網に関連した文言を追加し、中国の輸出規制に備えた混乱の回避を重視。

中国政府は自国企業の産業網を強化し、主要産業分野での世界市場支配を目指しており、日本はこれに懸念を示している。

日本は中国との自由貿易交渉の加速化には慎重であり、北朝鮮問題については中国が譲歩を拒んだ一方で、経済安全保障の分野で合意に至った。

 27日にソウルで開かれた日中韓首脳会談の共同宣言とりまとめに向けた交渉の中で、中国側が「サプライチェーン(供給網)」に加え、「産業チェーン(産業網)」の協力強化を盛り込むよう強く求めていたことが明らかとなった。日本側は、中国が電気自動車(EV)などの重要産業分野で自国企業の世界市場支配につなげようとしているとみて、文言の盛り込みを拒否した。

 複数の日中韓外交筋が明らかにした。外交筋によると、中国が使う「産業網」という用語は、ものづくりの川上(原料、素材)から川下(完成品製造)までを中国企業のみで完結させることを意味する。

 習近平(シージンピン)政権は、産業網と供給網の強靱(きょうじん)化を図る方針を繰り返し示している。EVや人工知能(AI)などの重要産業分野で、産業網の強化を目指している。

 共同宣言のとりまとめに向けた交渉の中で、日本側は産業網という文言について「中国企業の海外展開を許容し、過剰生産につながる」とみて拒んだ。日本側は供給網に関連し、中国によるレアメタルなどの輸出規制を念頭に置いた「混乱の回避」という文言を使うよう求め、実際に取り入れられた。

 中国側がこだわった日中韓自由貿易協定(FTA)の「交渉加速化」についても、日本側が主張した「議論を続ける」との表現にとどまった。中国側は、北朝鮮問題に関する内容では譲歩を拒んだが、経済安全保障の分野で日本側の主張に同意したという。