能登半島地震で初の孤独死、輪島の仮設住宅に4月入居の70代女性
石川県輪島市で能登半島地震の被害で仮設住宅での孤独死が初めて判明。高齢女性が家族に連絡が取れないまま亡くなった。
女性は避難所で暮らしていたが、子供たちに迷惑をかけたくないとして仮設住宅に入居した。
市では高齢者の孤独死が再発しないよう、保健師が巡回し、住民同士のつながりを強化するとしている。
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市は28日、市内の仮設住宅で一人暮らしの70代女性が亡くなったと発表した。孤独死とみている。県によると、今回の地震で仮設住宅での孤独死の判明は県内で初めて。
取材に応じた女性の長男によると、女性は4月12日、仮設住宅に入居した。家の鍵がかかったままで電話にも出ないことから、長男が5月20日、県警に連絡した。同17日ごろに死亡したとみられているという。
女性の自宅は元日の地震で大規模半壊。その後、自宅が全壊した長女一家と避難所で生活していたが、「子どもたちに迷惑をかけたくない」と仮設に入居したという。
同じ仮設住宅で暮らす男性は16日朝、歩いてゴミ出しをする女性を見かけた。「軽トラで持って行くよ」と声をかけると、「散歩するよういわれているから」と答えたという。
市では保健師約10人が3班ほどに分かれて仮設住宅を巡回してきたが、市社会福祉協議会などの協力を得て態勢を強化するとしている。山本利治・企画振興部長は「被災した高齢者は運動の機会が減り体力が低下している。二度と孤独死が起きないよう、巡回と住民同士のつながりを強化したい」と話した。(椎木慎太郎、赤田康和)