性別騒動あった女子選手、強すぎて物議 ボクシング女子66キロ級、アルジェリア代表のイマネ・ヘリフ

AI要約

パリ五輪のボクシング女子で性別を巡る論争が続いている。アルジェリア出身の選手が高レベルのテストステロン値を持つため昨年は出場できなかったが、今回は出場が許可された。対戦相手に46秒で棄権させる展開になり、世界選手権とIOC、IBAの対立も露呈している。

トランスジェンダー問題やトランプ前米大統領の公言など、試合結果を超えた議論も続発している。ローリング氏やトランプ氏はIOCの決定に反発し、2028年の五輪開催も影響する可能性がある。陸上競技など他のスポーツ界でも性別論争が広がる可能性がある。

ボクシング界に留まらない今回の性別問題は、IOCやIBA、選手だけでなく、さまざまな人物や組織を巻き込んで波紋を広げている。今後も様々な議論が予想される。

性別騒動あった女子選手、強すぎて物議 ボクシング女子66キロ級、アルジェリア代表のイマネ・ヘリフ

 パリ五輪のボクシング女子で出場選手の「性別」を巡り、国際オリンピック委員会(IOC)に対し競技団体の国際ボクシング協会(IBA)だけでなく、「ハリー・ポッター」シリーズの英作家J・K・ローリング氏、トランプ前米大統領らも参戦し異議を唱える騒動が起きている。

 論争の的となったのは、1日に行われた66キロ級2回戦のイマネ・ヘリフ(アルジェリア)対アンジェラ・カリニ(イタリア)の一戦。ヘリフは昨年の世界選手権は性別適格検査で不合格だったが、パリ五輪は出場が認められた。開始早々から攻め込み、カリニは約40秒で手を上げて試合は一時中断。その直後、カリニは顔に強烈なパンチを浴び、自らコーナーに戻り、わずか46秒で棄権する異例の事態となった。

 カリニはヘリフに握手を求められたが応じず、リングに膝をついて涙を流した。試合後「鼻に強い痛みを感じた。自分の命を守らなければならなかった」と語った。ヘリフは昨年の世界選手権で、男性ホルモンのテストステロン値が設けられた基準より高いとして出場が認められなかった。先天的に男性の染色体を持つ女性で、性分化疾患(DSD)だと言われている。

 世界選手権を主催したIBAは組織運営などの問題を指摘され、パリ五輪ではIOCによって統括団体の承認を取り消された。今大会はIBAでなくIOC管轄下で実施されており、問題が複雑化した面もある。ヘリフの出場を許可したIOCに対しIBAは試合直後に声明を発表。「IBAは男女間のボクシングの試合を決して支持しない」と非難した。これに対しIOCは2日「パスポート上は女性なので問題ない。東京大会にも出ている(5位)」と応酬した。

 騒動は“場外乱闘”の様相を呈している。トランスジェンダー批判の発言があるローリング氏はSNSに「女性ボクサーの対戦相手として男性がリングに上がることが許された」とIOCの決定に反発。トランプ氏はSNSに試合動画と「私は男性を女性スポーツから排除する」のコメントを投稿した。トランプ氏が11月の大統領選で勝てば、2028年のロサンゼルス五輪はトランプ政権下の米国で行われることになる。性別騒動は陸上競技でも浮上。ボクシング界だけにとどまらない論争に発展することも考えられる。