小池百合子知事、ふるさと納税批判「最初の理念からかけ離れている」 都民税流出額1899億円

AI要約

東京都の小池百合子知事は、ふるさと納税制度について総合的な設計がゆがんでいると指摘し、制度の現状に疑問を示している。

小池氏は寄付文化から離れた官製通販のような状況や地方税の原則のゆがみを懸念し、制度の抜本的見直しを求めている。

都内の区市町村と連携しながら制度を見直すとともに、地元のお店への影響や全体的な設計のゆがみを指摘している。

小池百合子知事、ふるさと納税批判「最初の理念からかけ離れている」 都民税流出額1899億円

 東京都の小池百合子知事は2日の定例会見で、現在のふるさと納税制度への見解を問われ「総合的な設計がゆがんできているのは否めない」と指摘した。

 総務省はこの日、昨年度、全国の自治体に寄付された額が初めて1兆円を超え、1兆1175億円になったと発表した。一方で、東京都などの都市部では税収が「流出」する形となっており、都民税の流出額は1899億円にのぼる。

 こうした現状について見解を問われた小池氏は、「最初は(ふるさと納税制度を推進した)島田晴雄先生が『日本にも寄付の文化を』ということおっしゃって、始められたと記憶している。一方で、いつの間にか『官製通販』のようになっている」と苦言を呈し「どんどん広がるとともに、いろんなルールや制度が複雑になっている。返礼品競争が起きたりすることで、最初の寄付の文化を根付かせる、というところから、かけ離れた制度になっているのではないか」と、疑問を示した。

 「仲介サイトのポイント還元の禁止など、一部の見直しを行うことをされていて、これに対して反論も出ている。本質として、受益と負担という地方税の原則ををゆがめている。本質的な課題は残ったままではないか」とも訴えた。

 また「アマゾンも入っていくということで『EC通販』ということが強調されていることによって、地元のお店が受ける影響とか、いろんなところに及んでくる。総合的な設計がゆがんできているのは否めない」と述べ、当初の理念からは外れた形になっているとの認識を示し、その上で「都としては、都内の区市町村と連携しながら。政府に対して制度の抜本的見直しを、引き続き行って参ります」と答えた。

 小池氏は昨年3月の会見でも「東京都は以前から国に対し、ふるさと納税は見直すべきだという要望を出している。本来、住民が行政サービスを受ける自治体に入るべき税収が他の自治体に移転し、受益と負担という地方税の原則から見て好ましくないというのが、都のかねてからの主張」と述べている。