文芸評論家の福田和也さん死去 63歳 保守派の論客、文壇でも活躍

AI要約

文芸評論家の福田和也さんが急性呼吸不全のため63歳で亡くなった。

福田和也さんは幅広い分野で活躍し、多くの文学賞を受賞していたが、体調不良のため活動ペースを落としていた。

福田和也さんは保守派の論客として知られ、文芸評論や社会批評、評伝などで活動していた。

文芸評論家の福田和也さん死去 63歳 保守派の論客、文壇でも活躍

 保守派の論客として知られた文芸評論家、慶応大名誉教授の福田和也(ふくだ・かずや)さんが20日、急性呼吸不全のため死去した。63歳。葬儀は近親者で営む。喪主は妻圭子(けいこ)さん。

 東京都出身。慶応大大学院修士課程仏文学専攻修了。ナチス・ドイツに加担したフランスの文学者を論じた「奇妙な廃墟」でデビュー。文芸評論家の江藤淳さんに見いだされた。近代日本のあり方を問い直し、文芸評論だけでなく社会批評や評伝など、文壇、論壇の双方で活躍した。食や教養を巡るエッセーも執筆し、ワイドショーにもコメンテーターとして出演するなど幅広い分野で発信を続けた。複数の文学賞の選考委員を務めた。

 1993年「日本の家郷」で三島由紀夫賞、96年「甘美な人生」で平林たい子文学賞(評論部門)を受賞。2000年の「作家の値うち」では、作家100人の小説を100点満点で採点し、その辛口の評価が話題を呼んだ。評論家の坪内祐三さんらと文芸誌「en-taxi」の創刊、編集にも携わった。

 02年「地ひらく」で山本七平賞、06年「悪女の美食術」で講談社エッセイ賞。20年11月~22年8月には「サンデー毎日」に不定期で、エッセー「コロナ禍の名店を訪ねる」を連載し、23年4月、「保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである」として単行本化された。体調不良のため、この7、8年は活動のペースを落としていた。