羽田空港の新飛行ルート、設定取り消し求めた住民敗訴 東京地裁判決

AI要約

東京都心の低空を通る羽田空港の新飛行ルートに反対する住民が訴訟を起こし、東京地裁は訴えを却下する判決を言い渡した。

国土交通省が廃止した通知により、新ルートが設定され、旅客機が都心上空を通過することになった。

判決は、新ルートの設定が住民に騒音被害を義務づけるものではないとし、原告適格も認められなかった。

羽田空港の新飛行ルート、設定取り消し求めた住民敗訴 東京地裁判決

 2020年春に始まった東京都心の低空を通る羽田空港の新飛行ルートに反対する東京都渋谷区や品川区、川崎市などの住民が、新ルート設定の取り消しを国に求めた訴訟で、東京地裁(岡田幸人裁判長)は20日、訴えを却下する判決を言い渡した。

 国土交通省は19年、原則として川崎石油コンビナート地域の上空を避けるとした通知を廃止。夕方の3時間、旅客機が着陸時に新宿、渋谷、品川など都心上空を通り、離陸時に川崎市上空を通る新ルートを各国に飛行に関するルールを伝える航空路誌(AIP)に加えた。

 判決は、新ルートの設定が「住民らに騒音被害などの受忍を義務づけるものとはいえない」と指摘。行政訴訟で取り消しを求められる「処分」にあたらないと判断した。また、今回の原告にどの程度の騒音が生じているかは証拠上不明で、訴訟を起こす資格がある「原告適格」も認められないとした。

 判決後の会見で、原告の須永知男さん(77)は「残念な結果で不満だ。(新ルートの)中身を検討したら、必ず勝てると思う」と述べ、控訴する意向を示した。(米田優人)