性別役割意識を捨て、引き出せ「秘めたパワー」 国の衰退防ぐリーダー待望 宰相の条件②女性

AI要約

自民党本部ビルに掲げられた巨大な横断幕が話題に。26人の歴代総裁の写真が並び、女性の姿は一切なし。

日本の政界における男女平等の課題や女性の立候補状況について検証。男女格差の実態と性別役割意識の根強さを指摘。

国内外の政治リーダーの男性優位が続く中、女性進出の取り組みや成功事例を紹介。日本の社会進出の課題と可能性について考察。

性別役割意識を捨て、引き出せ「秘めたパワー」 国の衰退防ぐリーダー待望 宰相の条件②女性

東京・永田町の自民党本部ビルに巨大な横断幕が掲げられている。「THE MATCH(ザ・マッチ)」。黒地に鮮やかな紅で記されたキャッチフレーズを囲むようにあしらわれたのは、計26人の歴代総裁の写真だ。

安倍晋三、小泉純一郎、田中角栄…。錚々(そうそう)たる顔ぶれだが、「おじさんの詰め合わせ、って感じがする」。テレビの報道番組に出演したモデルのトラウデン直美(25)が率直な感想を口にすると、インターネット上で「性差別だ」などと反発が起きた。

確かに、表現に配慮が欠けていた部分はあったかもしれない。ただ、女性は一人もおらず、中高年の男性のみの構図だったことは事実だ。

今回の総裁選は、7人の男性候補に対し女性候補は高市早苗(63)と上川陽子(71)の2人。過去には麻生太郎が選出された平成20年の総裁選に現東京都知事の小池百合子が挑戦したほか、前回総裁選には高市と元総務相の野田聖子が立候補した。

女性の立候補者はこれまで、この4人のみだ。

日本の政界は、男女平等とはほど遠い。スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが各国の男女格差をまとめた2024年リポートのジェンダーギャップ指数は、男女対等を1・000とした場合、政治参画は0・118。経済参画(0・568)、教育(0・993)などと比べても、著しく低い。

日本で女性の社会進出が進まない理由は複合的だが、一つの要因といえるのが、根強い性別役割意識だろう。

性別に関する無意識の思い込みについて、内閣府が令和4年に調査(男女約1万人対象)したところ、「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」という考えを、男性の48・7%、女性の44・9%が肯定的に捉えていた。

日本社会が、「夫は仕事、妻は家庭」という高度経済成長期を支えた家庭モデルを引きずっている様子がうかがわれる。自民党、日本のリーダーに女性が皆無なのは、そうした潜在意識の縮図といえる。

海外でも政治リーダーの多くは男性が占めているが、女性の進出も着実に進んでいる。たとえば、男性優位な社会といわれてきたメキシコでは今年6月、初の女性大統領が誕生した。2002年に連邦議会で女性議員数を30%とすることを義務付け、女性参画を進めてきた背景がある。