転勤多いけどネコ飼える?暴力団事件も捜査? 朝ドラ「虎に翼」で注目される「女性法曹」のリアル

AI要約

NHK連続テレビ小説「虎に翼」や、検察と日弁連のトップが初めて女性となったことで、女性法曹に注目が集まっている。

2024年度の男女共同参画白書によると、女性の割合は裁判官24・3%、検察官27・2%、弁護士19・9%だが、政府の目指す3割には到達していない。

京都弁護士会では、女性割合が他の弁護士会より高い傾向があり、企業や大学に雇用されるインハウスローヤーが多いことが挙げられる。

転勤多いけどネコ飼える?暴力団事件も捜査? 朝ドラ「虎に翼」で注目される「女性法曹」のリアル

 NHK連続テレビ小説「虎に翼」や、検察と日弁連のトップが初めて女性となったことで、女性法曹に注目が集まっている。法曹に占める女性の割合は増加してきたものの、政府が目指す3割には満たない。女子学生に仕事の魅力を伝えようと、女性の裁判官、検察官、弁護士がタッグを組んだイベントが京都市で開かれた。犯罪捜査からお菓子のキャンペーンまで、リアルな法曹の姿を語り合った。

 「暴力団の未解決事件を担当して捜査能力が上がった」(検察官)、「契約交渉に関わったお菓子が店に並んでいるのを見るとうれしい」(菓子メーカー勤務の弁護士)。7月中旬、近畿弁護士会連合会などが開いたパネル討論で、裁判官、検察官、弁護士の女性計4人が生き生きと語った。オンラインでつないだ京都弁護士会館(京都市中京区)で中高生ら22人が視聴し、中京区の中学1年の女子生徒(12)は「弁護士は仕事が幅広くて自分に合う形を見つけられそう」と聞き入った。

 2024年度の男女共同参画白書によると、女性の割合は裁判官24・3%、検察官27・2%、弁護士19・9%。司法試験合格者に占める割合は約30年前から2~3割で推移し、伸び悩む。大きな課題は仕事と家庭の両立だ。弁護士の多くは個人事業主で育休手当がない。裁判官と検察官は公務員として福利厚生がある一方、転勤が多い。パネル討論に登壇した裁判官は「夫と離れて暮らしている。ネコ好きだけど転勤族で飼えないのはつらい」と語った。

 京都弁護士会は23年3月時点の女性割合が22・6%と、全国の弁護士会でトップだった。同会男女共同参画推進本部の大島麻子事務局長によると、企業や大学に雇用されるインハウスローヤー(組織内弁護士)が多いことが一因とみられる。菓子メーカー勤務の弁護士も、出産を機に大手法律事務所からテレワークなどの制度が充実した今の会社に転職した経験を語った。

 苦労も魅力もありのままを知ってもらおうと、パネル討論の後、同会館では京都の若手法曹と女子学生が机を囲み、座談会を開いた。京都地検の山代有里沙検察官は「覚醒剤事件など誰からも『ありがとう』と言われない仕事もあるけれど、国のためにと取り組んでいる」。京都地裁の熊野結衣子裁判官は「とにかく悩み、考える仕事。性別を問わず、いろいろな価値観の人が交ざり、意見を言えることが大切」と未来の後輩に呼びかけた。

 同会の大島弁護士は「悩みはあっても、資格を取ればいろいろなことができる魅力ある仕事。チャレンジしてほしい」と話す。