学童保育の職員は日給4700円の“隙間バイト”「心配」保護者から不安の声も現場は人手不足　さいたま市

隙間バイトアプリで求人募集があったのは、子どもの命を預かる保育の現場でした。

物議を醸しているのは、さいたま市が2024年4月から実施している“放課後子ども居場所事業”。

小学校の空いた教室や校庭などを利用して、放課後の子どもたちの居場所を提供するものです。

この事業を委託された民間企業が職員を募集したのが、空いた時間に短期で働く“スキマバイトアプリ”でした。

実際にアプリに掲載されたという求人募集の画面を見ると、日給は4700円、仕事内容は「子どもの安全を見守る」と書かれています。

募集があったのは、夏休み期間中の7月22日からで、8月1日までに合わせて17人が採用されました。

このスキマバイトによる保育の現場での求人を巡り、市議会でも議論に。

さいたま市・池田めぐみ市議:

子どもに関わる仕事に簡単に入ってきてしまうことがまず怖いなと思った。しっかりと市として確認しないといけない。

子どもたちの安全を守る“放課後児童支援員”は資格が必要ですが、さいたま市によると、今回募集したのは“補助員”だったため、資格の保有については問わなかったと説明。

採用にあたっては、履歴書の提出や面接を行わない代わりに、個人情報の取り扱いなどに関する誓約書にサインを求めていました。

保育現場の職員をアプリで採用することについて、子どもを持つ親からは「先生がコロコロ変わるのは心配。同じ先生に長く見てもらえる方が、子どものことを知ってもらえて安心感がある」「すごく心配。（子どもの）心理的なことが気になる。長い時間預けているので、安心して預けられるところにお願いしたい。（アプリの採用が）分かったら転園します」といった不安の声が上がりました。

東京都内にある民間の学童施設「こども toiro」には、20人の職員が在籍しています。

職員はおやつの準備や片付け、さらには宿題を手伝うなど、子どもたちが安心して過ごせるようにサポートします。

この施設では採用について、資格が不要な職員の場合でも、1カ月間の試験期間を設け、適性を見てから雇用しているといいます。

こどもtoiro・木村伊知郎理事長:

人と人との関係を1番重要視しているので、1週間や1カ月で（人間関係は）築けるものではない。短期の採用は考えていない。

一方、スキマバイトアプリで職員を募集した背景には、慢性的な人手不足がありました。

ただ、アプリでの職員の採用について、学童保育運営支援アドバイザー・萩原和也さんは「（放課後子ども居場所事業は）ずっと人手不足。求人しても人が来ない。単発の派遣のスキマバイトであっても、ちゃんとした人がほしいのが現場の本音。一方で（保育は）継続的に関わることで、子どもの育ちを支える仕事。単発で入る人は、本来は事業の内容としてはふさわしくない」と話しました。

さいたま市は今後、スキマバイトアプリでの採用については、資格を持つ人に限る方針に変更するとしています。