旧ジャニーズの被害補償に多数の“虚偽申告” 「反社などが行ったフシがある」

AI要約

被害者の半数が補償を受けたが、残りの半数近くは補償を受けられない状況。補償を受けられない申告者には虚偽申告者もいる可能性がある。

補償不可となった申告者の中には、詐欺罪や出資法違反などで前科のある者もいる。一部の申告者は他の犯罪行為でも逮捕歴がある。

スマイル社は申告者のプライバシーを尊重し、個別の情報は公開しない姿勢。しかし、真偽が分からない申告者もいるため、正確な判断が難しい状況が続いている。

旧ジャニーズの被害補償に多数の“虚偽申告” 「反社などが行ったフシがある」

 被害を申告した996名のうち約半数の497名が補償内容に合意し、489名に対して補償金が支払われている。一方で、申告者244名と連絡がつかず、203名には補償を行わない旨を連絡した――。

 8月30日、旧ジャニーズ事務所「SMILE-UP.」(以下、スマイル社)が公表した現況である。

 故・ジャニー喜多川氏による性加害の事実を事務所が初めて認め、謝罪会見が開かれたのは昨年9月7日。

 会見の席上、のちにスマイル社の代表に就く東山紀之氏(57)は、ジャニー氏の蛮行を“人類史上最も愚かな事件”と断じ、被害者への補償と再発防止を誓った。9月15日には被害者救済委員会が設置され、被害補償がスタートしている。

 それから1年――。被害申告者の半分が“救済”されたものの、残りの半数近くは音信不通や補償拒否だった。この事実について、

「歯痒く、もどかしい思いでいます」

 と、ジャニーズJr.のOBは胸の裡(うち)を明かすのだ。

 すでに補償を受けたこのOBが感じる歯痒さは、

「スマイル社が補償を行わないと判断した申告者は、在籍も被害も確認できなかったということです。しかもその“虚偽申告”は反社会的勢力などが行ったフシがあるとの情報が、被害者のあいだでうわさされている」

 たしかにスマイル社も、

〈申告者が日本国内で被害に遭ったとする時期には、故ジャニー喜多川が外国に滞在していた〉

 などの申告内容を、補償拒否通知203件の類型として示している。が、裏付けの取れぬ申告をした人たちの素性ははっきりしない。そこで先のOBが語る“虚偽申告者情報”をたどっていくと、詐欺やヤミ金で手が後ろに回り、報じられたケースに行き着いた。

 まずは、1990年代後半、詐欺罪で逮捕、起訴された“元暴力団員の男”として報じられた申告者。関東のディスカウント店やコンビニで言いがかりをつけ、現金をだまし取った罪だ。

 続いて、加害者がジャニー氏であると認定されず補償不可となった人物。中学生時代に番組リハーサルを観覧しに行った際に性被害を受けたと申告したものの、救済委員会を納得させられなかったようだ。彼は十数年前、出資法違反などで逮捕されている。自宅でヤミ金を開業し、稼いだ金を芸能人の追っかけに使っていたという。

 最近のケースでは、新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取って詐欺で逮捕された人物も、被害補償を求めていた。

 これらの申告者情報をスマイル社に尋ねると、

「被害を申告された方のプライバシーを尊重する観点から、個別の回答は控えさせていただきます」

 ジャニーズJr.OBのもどかしさは募るばかりだ。

「ジャニー元社長はもうこの世にいませんし、スマイル社も救済委員会も、本当のことは誰も知らない。被害を立証するものがない以上、申告の真偽は評価が難しく、虚偽申告が通ってしまっている可能性もあります。それでは真の被害者は救われません」

「週刊新潮」2024年9月12日号 掲載