柏崎刈羽原発 岸田首相、避難体制の充実を指示 再稼働へ地元同意目指す

AI要約

政府は柏崎刈羽原発の再稼働に向け、避難体制強化や地元の要望への配慮を指示。必要性を説明し、広報活動を強化する方針。

データセンター増加による電力需要増加や脱炭素化の観点から、原発再稼働の重要性が増しており、電気料金の抑制も期待される。

柏崎刈羽原発はリスク軽減の面でも重要であり、早期再稼働を目指すも、地元同意の獲得は課題となっている。

政府は6日、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を目指し原子力関係閣僚会議を開いた。岸田文雄首相は事故時の住民の避難路整備など、実効性のある避難体制の構築を閣僚に指示。地元の要望に丁寧に応じる姿勢を示し、再稼働に必要な県知事の同意につなげる。データセンターの増加などで電力の安定供給の確保が急がれる中、首相の退任前に再稼働に道筋を付ける狙いがある。

会議には官房長官や経済産業相など従来のメンバーに加え、首相のほか国土交通相ら関係閣僚が出席。首相は「緊急時対応をはじめとする原子力防災体制の充実強化に向けて速やかに対応を進めてほしい」と強調した。

今後、柏崎刈羽原発から30キロ圏外に避難する道路や、30キロ圏内全域での屋内退避施設の整備などを進める。避難路整備などは県が全額国費での実施を求めており、県側の負担がない形とする。

また年末にかけ、再稼働の必要性を県民に伝える説明会や情報発信に集中的に取り組む。電力消費地の首都圏での理解を深める広告も展開する。

国内では今後、データセンターや半導体工場の増加で電力需要の増加が見込まれ、政府は原発を最大限活用する方針。世界的に進む脱炭素化の観点からも原発の重要性は改めて増しており、燃料費のコストが安い原発の再稼働が進めば電気料金も抑えられる。

また、これまで再稼働した原発がない東日本では、電力の多くを東京湾岸や太平洋沿岸に集中する火力発電所に依存し、「災害などに対する脆弱(ぜいじゃく)性をはらむ」(政府関係者)。日本海側の柏崎刈羽原発は災害リスク軽減のためにも欠かせない。

柏崎刈羽原発7号機は既に核燃料を装塡(そうてん)し、再稼働に向けた設備検査も6月に終了。今後は地元同意が焦点だが、新潟県の花角英世知事は態度を明らかにしておらず、時期は見通せない。政府は要望に細かく応じ、早期に理解を得たい考えだ。(中村智隆)