<福島第一原発>燃料デブリ取り出し中断の原因は?東電会見(2024年9月5日)

AI要約

福島第一原子力発電所2号機で燃料デブリの取り出し作業が中断した経緯について、東京電力が説明会を行った。

作業中に起きたミスや確認作業の不足が主な原因とされ、再開は週明けに予定されている。

東京電力は確認作業のルール化や訓練の見直しを行うことを表明し、安全を最優先に取り組んでいる。

<福島第一原発>燃料デブリ取り出し中断の原因は?東電会見(2024年9月5日)

福島第一原子力発電所2号機で、8月22日に燃料デブリの試験的取り出しに着手しようとしたところ設備にミスが発覚し中断した。

ミスは、デブリ取り出しのロボットを押し込むための棒の順番が違っていて、このまま進めると引っかかったり接続が外れる恐れがあったというもの。

東京電力は9月5日に第一原発構内で臨時会見を開き、経緯を説明した。

東京電力が説明した経緯は以下のとおり。

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【7月27日】

・協力企業作業員が5本の押し込みパイプの運搬をしようとしたところ、予定の被ばく線量の限界に近づいたため、5本中1本を”仮置き”の状態にして中断した。

・早期の退出に気を取られ、5本すべて搬出したと思い込んで班長に報告した。

【7月28日】

・別の担当者は5本すべてが搬入されていると思い込み、5本の連結作業を指示した。

・連結中に1本足りないことに気づき、仮置きされていた棒を見つけたが、棒の番号までは確認せず運搬した。

【7月29日】

・さらに別の担当者が、順番がバラバラになってしまった状態で接続し、適正に配置したと思い込んだ。

【8月22日】

・試験的取り出しの着手の際に、最初に押し込むべき棒が、本来の順番のものと違うことに気づいた。

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東京電力は主な原因について「確認作業の不足」とし、棒の運搬作業が一般的かつ十分訓練されている作業であるため東京電力が確認するというルール化をしていなかったとした。

このうえで「安全を最優先にいったん立ち止まる」とし、東京電力自身による作業の再確認を実施するとして、燃料デブリ試験的取り出しの作業再開は「順調に行けば来週」としている。

東京電力はミスの詳細や今後の工程について、報道陣の質問に答えた。

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Q 7月29日以降、約1か月間、現場の確認をしていなかったということか?

A 当社は順番通り設置されていると思い込んでいたので順番までは確認していなかった。高線量下で重装備だったこともあり外見上識別が難しかった。結果として間違ったパイプを接続する形になってしまった。現場の確認はしていたが、我々は順番どおりであると思っていたことから(番号までは)確認していなかった。順番どおりであると思っていたので、我々としては確認する必要がないと思っていた。

Q 7月27日に仮置きしたことを正確に報告できなかった?

A 現場が非常に線量が高いことから、退域することを最優先にしたというところもあって、結果的に「すべて移動させた」という報告をしたかもしれない。明確なことはわからないが、退域が最優先だった。作業員はすべて27日の時点で5本すべてを運び終わったと思い込んでいた。1本残していたという認識は持っていない。

Q 地元への説明は?

A 自治体の方々へは説明資料を会見と並行して説明しているところ。対面での説明にまいっていくところ。

Q 事前の模擬訓練では時間制限や重装備も想定していたか?

A 重装備での訓練もやっていたが、視認性が悪い、時間制限があるという感情も含めて訓練していく必要がある。パイプを運搬する作業については「一般的な作業だろう」ということで、訓練に含めていなかった。どのくらい時間がかあるかとか、番号を識別しやすくすべきだったとかいうことが分かるような訓練が必要だと思う。

Q 押し込み棒にカバーがかかっていて通し番号が見えなかったということか?

A カバーをめくって数字の確認はしていた。

Q ミスが繰り返されているのではないか?

A 作業安全上、作業が始まるまえに立ち止まったというのは良かったと思うが、作業のはじめで立ち止まる結果になったということは、期待を裏切ってしまった、不信感を招いてしまったと思っている。我々がちゃんと確認して着実に円滑に、立ち会って進めるべきだったという反省はある。

Q 一番の原因は東京電力の確認不足か?

A その通り。高線量下だったという言い訳はあるが、ポイントを絞って立ち会うべきだと認識している。

Q 作業の再開、順調にいけばいつごろか?

A 順調に準備作業が進めば作業再開は来週にできる見込み。

Q 月曜に経産相に報告しようとして「精査中」で延期となったのはどういうことか?

A 対策の実効性について精査する必要が出てきたため。線量の高いところに立会いが増やせるのであればそうするが「できるのか」ということで精査が必要になった。体制面も含めて確認をしてきた、大臣にお話しする前に我々として確認する必要があると。