ちょっと分かりづらい 立憲民主党の皇位継承政策 成城大教授・森暢平

AI要約

自民党総裁選と比較される立憲民主党の代表選において、女性天皇容認の立場が不明瞭な姿勢が見られる。

立憲民主党はⅠ―A案とⅠ―B案の両案についてはっきりとした立場を示しておらず、議論が続いている。

野田佳彦氏は皇位継承問題で女性宮家案に慎重な意見を示し、有識者会議の結論を崩す発言を行った。

ちょっと分かりづらい 立憲民主党の皇位継承政策 成城大教授・森暢平

◇社会学的皇室ウォッチング!/125 これでいいのか「旧宮家養子案」―第27弾―

 自民党総裁選の話題の陰に隠れるが、立憲民主党の代表選は9月7日告示で、23日に投開票される。皇位継承問題は「国会の総意」で決まるので、野党第1党の対応が重要だ。しかし、対応は実にはっきりしない。(一部敬称略)

 現代表の泉健太は昨年1月、男系継承維持に踏み込んだ。

「先例、男系、直系ですよね。(略)ずっと長く続けてきたものを、もちろん、何か手段として変えてしまうことは、できるのかもしれませんが、続いてきた意味や重みというものを受け止めて、できる限り続けてきたものを踏襲するというものが、大前提だと思います」(インターネット番組「チャンネルくらら」でのインタビュー)。

 完全に男系継承維持に偏っている。ところが、今年1月31日の衆院代表質問で泉は「(岸田文雄)総理は、自民党総裁選で、女系天皇には反対と述べられました。今もそのお考えですか。(略、有識者会議の)報告書では、婚姻後も本人のみ皇族、配偶者や子を皇族としない案のみが示されました。総理、これが複数案を比較検討した結論なのか」と聞いている。女系天皇や女性宮家案を真剣に検討しない自民党を批判しており、少なくとも女性天皇容認の立場に立っているように見える。ある時は男系継承維持の発言を行い、別の時は女性天皇容認ととれる質問を行う。まったく分かりづらい。

 5月17日と23日に国会で皇位継承問題が協議された。ここで、立憲民主党の元首相、野田佳彦は女性皇族の夫と子を皇族としない案について、夫が政治活動をし、子がタレントにもなれると指摘した。女性宮家のあり方について、皇族・国民混成案(野田政権ではⅠ―B案と呼ばれていた)に慎重な意見を示し、有識者会議の結論どおりの決着というシナリオを崩したのである。

論点整理しただけ 主張はっきりせず

 では、立憲民主党はⅠ―B案に反対で、女性皇族の夫と子に皇族の身分を付与する案(こちらはⅠ―A案とよばれる)を推しているのだろうか。実は、はっきりしない。立憲民主党が3月に衆参の両院議長に提出した「論点整理」では、Ⅰ―A案、Ⅰ―B案の両案が併記され、それぞれに賛成、反対の理由が書かれていた。