「はだしのゲン」作者の中沢啓治さん、米漫画賞の「殿堂入り」

AI要約

中沢啓治さんが漫画のアカデミー賞とも呼ばれる米国のアイズナー賞の殿堂入りを果たした。妻のもとに受賞トロフィーが届いた。

これまでアイズナー賞の殿堂入りを果たした日本人に手塚治虫さんや宮崎駿さん、萩尾望都さんがいる。中沢さんは初めて原爆を題材に取り上げた作品で知られている。

中沢さんは広島市出身で被爆体験を元にした作品『はだしのゲン』は20カ国以上で翻訳され、原爆の恐ろしさを伝える作品として読み継がれている。

「はだしのゲン」作者の中沢啓治さん、米漫画賞の「殿堂入り」

 漫画「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さん(1939~2012)が、「漫画のアカデミー賞」とも呼ばれる米国のアイズナー賞の「殿堂入り」を果たした。妻・ミサヨさん(81)のもとに8月、受賞トロフィーが届いた。

 アイズナー賞の「殿堂入り」となった日本人はこれまで、手塚治虫さんや宮崎駿さん、「ポーの一族」で知られる萩尾望都さんら。米漫画家のウィル・アイズナー氏にちなんだ賞で、正式名称は「ウィル・アイズナー漫画業界賞」。米国の主宰団体への取材によると、受賞は今年7月で、有識者や作家らからなる審査員が中沢さんを含む世界から19人を選んだ。

 主宰団体のホームページでは、中沢さんが初めて原爆を題材にした作品「黒い雨にうたれて」などにも触れ、「広島の記憶を漫画で表現し始めた」と紹介している。

 中沢さんは広島市出身。6歳の時、爆心地から1・3キロの国民学校前で被爆した。父と姉、弟を失い、直後に生まれた妹もまもなく亡くなった。自身の被爆体験を元に描いた「はだしのゲン」は英語やロシア語など20カ国以上の言語に翻訳され、原爆の恐ろしさを伝える作品として読み継がれている。

 ミサヨさんは取材に対し、「アメリカの読者にも読まれて、主人の核廃絶への思いが伝わったのかと思うと、こんなにうれしいことはない」と話す。(興野優平)