『SHOGUN 将軍』真田広之、エミー賞最多ノミネートは“予想を超えた” ―「シーズン2&3は、実際の歴史に沿うように制作」【インタビュー】

AI要約

ドラマ『SHOGUN 将軍』の主演・真田広之が、エミー賞ノミネートと制作への取り組みについて語る。

作品のオーセンティックさを重視し、日本と欧米の視点を融合させるプロセスについて述べられている。

シーズン2&3の進捗状況や撮影予定、そしてサムライ精神についての考察も展開されている。

『SHOGUN 将軍』真田広之、エミー賞最多ノミネートは“予想を超えた” ―「シーズン2&3は、実際の歴史に沿うように制作」【インタビュー】

今年のエミー賞で、最多25部門でノミネートを受けたドラマ『SHOGUN 将軍』(Disney+で配信中)の主演・真田広之が、米『ハリウッド・リポーター』のインタビューに登場。

真田は、ジェームズ・クラベルによる小説を再映像化した『SHOGUN 将軍』で、主演に加え、プロデューサーも兼任。17世紀の日本を舞台にした本作で、真田は徳川家康にインスパイアされた武将・吉井虎永を演じた。

エミー賞で主演男優賞(ドラマシリーズ部門)候補入りを果たした真田が、制作における日本と欧米の視点のバランス、歴史的な正確さの追求、そして予想されるシーズン2&3の撮影開始時期などについて明かした。

―これまで、映画『たそがれ清兵衛』や『ラスト サムライ』など、数々の時代劇に出演されました。どのような経緯で、時代劇に欠かせない俳優になられたのですか?

僕はサムライ映画を観て育ったので、その世界には非常に馴染みがあります。数多くの偉大な俳優や製作者たちから、沢山のことを教わりました。彼らにお返しはできないので、次の世代やハリウッドに自分の知識を受け継いでいかなければなりません。

文化を背負うプレッシャーを感じましたが、何よりも海外の製作陣と日本の製作陣が共に作品を創作するということを本当に楽しみました。僕は、東洋と西洋の良き懸け橋となりたかったのです。まさに夢が叶いましたね。

―ドラマ『SHOGUN 将軍』は歴史をテーマにした作品ですが、エミー賞へのノミネートで歴史を作ることになりましたね。 

予想を超えました。計25部門でノミネートされ、11人の日本人キャストとクルーが候補になったというのは新記録です。製作陣を凄く誇りに思います。 

―『SHOGUN 将軍』の制作にあたり、ショーランナーのジャスティン・マークス&レイチェル・コンドウに、日本の映画業界で活躍している人々を起用するように勧められました。ドラマの雰囲気には、どのような影響がありましたか?

本作を“オーセンティック”なものにするには、日本人の視点が必要でした。クルーのなかには、僕が20代の頃からの付き合いの人もいて、彼らのことを信頼できると分かっていました。

―このようなクオリティーの高さと歴史的な正確さを備えた時代劇を、日本国内で日本人だけのチームだけで制作することは可能だったと思いますか?

このコラボレーションが素晴らしい理由は、欧米のプロダクションは他の国々に向けて作品を作る一方で、日本のプロダクションはしばしば国内の視聴者のみを念頭に置いている点にあります。開国してからずいぶんと経ちますが、文化的な面で日本はまだ扉を閉ざしている部分があるのです。それは、国内のエンターテインメントにとって良くないですよね。

今回、世界に向けてドラマを制作するにあたり、日本と欧米の人々の視点を得ることができました。日本の時代劇ファンが楽しめ、海外の視聴者にとって分かりやすいものにするために、普遍的なテーマを持つ良質な脚本を作成する必要があったのです。

―江戸時代、特に徳川の物語はしばしば歌舞伎の題材になっています。『SHOGUN 将軍』に対して、日本の伝統的な演劇はどの程度影響を与えましたか?

(劇中では)昔の日本語を使用しましたが、演技に関してはもっと自然なものになるように心がけました。座り方、立ち上がり方、歩き方、そして戸の開け方まで、正しい所作を先生から教わりました。でも、演技自体は信憑性があり、自然なものにしなければなりませんでした。

―シーズン2&3は、史実に基づいて制作されます。しかし、徳川が将軍になったあと、2世紀にわたる平和な時代が到来しました。その中に、戦(いくさ)の種はあるのでしょうか?

日本には、数多くの有名な逸話があります。虎永の戦略は、まるでチェスのようですね。戦だけが主眼ではなく、人間ドラマも重要です。新たなキャラクターも登場しますし、シーズン2と3は実際の歴史に沿うように制作する予定です。平和な時代が来る前には、沢山の劇的な瞬間が起きていたんですよ。

―次の2シーズンの進捗具合はいかがですか?

毎日、脚本家たちがライターズ・ルームの中で作業してくれています。来年あたりには、撮影を開始できればいいですね。

―どのような点で、バンクーバーが近代以前の日本の代わりになる思われたのですか?

バンクーバーは、『SHOGUN 将軍』の撮影にうってつけの場所でした。大きなスタジオがあり、そこから20分の距離には現代的な建物や電線がなく、森、川や港などすべてが揃っていました。日本でそのような場所を見つけるのは困難なんです。モダンなもので溢れていますから。

―現在の世の中において、“サムライ精神”は役に立つでしょうか?

はい。刀がなくても、サムライ精神を使うことができるでしょう。マーシャルアーツを習った人なら、それを駆使するのがいかに危険かを承知しているので、平和的な性格になる傾向があります。

自信があれば、他人を攻撃する必要もありません。虎永の戦は、平和のためだったでしょう?その上、犠牲の精神もあります。でも、本質は自分に厳しく、他者に優しくということですね。奉仕の精神ということになります。これらのことは今の世の中に必要で、より良い未来のために役立つでしょう。

※初出は米『ハリウッド・リポーター』(8月単独号)。本記事は英語の記事から抄訳・編集しました。