イタリア海軍の空母「カブール」が初寄港 日本と安保連携を強化

AI要約

イタリア海軍の空母「カブール」が初めて日本の横須賀基地に寄港した。日本との安全保障分野での連携強化を示す一歩として注目される。

カブールはイタリア海軍の旗艦であり、主にF35BやAV8Bハリアー攻撃機などを運用している最新鋭ステルス戦闘機が発着可能。海上自衛隊のいずも型護衛艦もF35Bの運用に向けた改修を進めている。

日本とイタリアは防衛協力を強化し、共同訓練や活動を進めている。両国の協力は今後さらに深まる可能性が高まっている。

 イタリア海軍の空母「カブール」が22日、海上自衛隊の横須賀基地(神奈川県)に寄港した。日本への寄港は初めて。海軍力の象徴とされる空母の訪日は、安全保障分野で日本との連携を一層強めようとする意思の表れと言える。

 カブールは全長244メートル、最大幅39メートル、排水量約2万7000トン。イタリア海軍の旗艦で、2009年ごろ就役した。スキーのジャンプ台のような飛行甲板を備え、短距離離陸・垂直着陸が可能な最新鋭ステルス戦闘機F35Bや、AV8Bハリアー攻撃機などを運用している。

 防衛省は海上自衛隊の「いずも」型護衛艦(全長248メートル、最大幅38メートル、排水量約2万トン)について、F35Bが発着艦できる事実上の空母化に向けた改修を進めている。海自は寄港したカブールと共同訓練を行うとともに、F35Bの運用に関する最新の知見を吸収したい考えだ。

 欧州主要国は近年、中国の活発な海洋進出や軍事的な威圧を念頭に、インド太平洋地域で軍事的なプレゼンスを高めている。日本との防衛協力も進めており、イタリアは23年に最新鋭の哨戒艦を寄港させたり、戦闘機部隊を初めて飛来させたりしている。カブールは今年6月、イタリアを出発し、オーストラリアや米領グアム島に寄港しつつ周辺で共同訓練を実施し、フリゲート艦「アルピーノ」と日本に向かっていた。

 日本とイタリアの協力指針となる「アクションプラン」(今年6月発表)には、自衛隊とイタリア軍の共同訓練について、更なる協力と共同活動の方策を探ると明記。今月25~30日には「世界で最も美しい」と称されるイタリア海軍の練習帆船「アメリゴ・ベスプッチ」が世界航海に合わせ、初めて東京に寄港する予定となっている。【松浦吉剛】