【独自】「進次郎つぶし」のために小林鷹之を出馬させた「ライバル政治家」がやっていること《自民党総裁選》

AI要約

自民党総裁選で急浮上した小林鷹之氏を福田達夫氏が擁立し、20人の推薦人を集め総裁選に出馬した経緯が明かされる。

福田氏は小泉進次郎氏の台頭を警戒し、若手議員を束ねて小林氏を後継として育てようとしている。

自民党の伝統として、総裁選に出馬することは政治家としての将来を有望視される証明であり、スターの証とされている。

【独自】「進次郎つぶし」のために小林鷹之を出馬させた「ライバル政治家」がやっていること《自民党総裁選》

自民党総裁選が混戦している。石破茂元幹事長、小泉進次郎元環境相、河野太郎デジタル相の「小石河」が注目を集めるなか、突然急浮上したのが小林鷹之前安全保障担当相だった。「コバホーク」との愛称も浸透しつつあり、早くも推薦人20人を集め、8月19日には記者会見を行った。

「20人集めるのは、本当に早かったですね」

こう語るのは、小林氏を応援する衆議院議員のA氏。この議員によれば、小林氏は岸田首相の辞意を予測していたのかのように、7月から極秘に会合を重ねてきたという。

派閥解消前は二階派に所属していた小林氏は、麻生派の甘利明元幹事長の覚えもめでたく、当選4回で入閣を果たしている。

A氏によれば、小林氏の応援団の中心は、安倍派のホープでもある、福田達夫元総務会長だ。福田氏は、父親の福田康夫氏、祖父の福田赳夫氏がいずれも総理となった政界のサラブレッド。すでに党三役の総務会長も経験している。

東大から財務省に入省し、アメリカの米ハーバードケネディ行政大学院に留学した小林氏もエリート官僚の出身だが、永田町の論理では福田氏の方がはるかに「格上」の存在だ。

「本来、福田氏自身が出馬してもおかしくなかった。しかし、裏金事件もあって今回は断念した。派閥が解消されてから初めての総裁選であり、議員の思いがダイレクトに反映される。自民党は古い世代が仕切っていてはいけないと考えた福田氏は、当選4回の同期の小林氏を擁立するべくチームを組んだのです」

A氏はそう説明する。事実、福田氏自身も94万円の裏金を受け取り、政治資金収支報告書の訂正を余儀なくされており、いまだ傷は癒えていない。

福田氏がなぜ小林氏を擁立したのか。A氏によれば、もう一つの理由があるという。小泉進次郎氏の存在だ。

今も、安倍派に睨みを利かす、森喜朗元首相は総裁選前に、小泉氏の父・小泉純一郎元首相などと会食し、

「純一郎元首相は安倍派だった。進次郎氏が総裁選に出馬するなら安倍派で支援をすればよい」

と語ったと報じられた。

「福田氏は当選4回、小泉氏より1期下になるが、どちらも将来は自民党を背負って立つ人物です。小泉氏は岸田首相の派閥解消もあり、総裁選には確実に出てくるでしょう。今回出馬を見合わせた福田氏は小泉氏をライバル視しており、小泉氏の台頭には我慢ならないところがあると思う」(A氏)

自民党では、総裁選に出馬することは何を意味するのか。

「推薦人20人を集め、総裁選に出るというのはある意味、スターの証です。政治家としての将来は非常に有望視される。それが自民党の伝統だ」

こう話すのは、政治評論家の田村重信氏だ。小泉氏が先に総裁選に出馬となれば、福田氏は先を越された格好となる。それを防ぐため、派閥の縛りがなくなり、自由に動ける中で、当選4回以下の若手を束ねて小林氏をという態勢を作り、実際に出馬表明させたのである。