システム障害で営業停止、ランチ予定が白紙に…店舗は客個人の“私的損失”をどこまで補償してくれるのか

AI要約

多くの企業がシステム障害によるダメージを受け、補償の範囲が限られる現状。

保険でカバーされる被害額は基本的に補償上限が決められており、不十分なケースが多い。

マクドナルドのシステム障害も頻繁に発生し、FCに対する補償内容は契約次第で異なる。

システム障害で営業停止、ランチ予定が白紙に…店舗は客個人の“私的損失”をどこまで補償してくれるのか

7月中旬、世界規模のシステム障害で多くの企業がダメージを受け、営業に支障が出るなど、甚大な損害が発生した。ネットがインフラ化し、サービスや事業がインターネットやシステムに大きく依存していることを改めて実感させらた。こうしたトラブルが発生した場合、被害を受けた企業や消費者はどこまで補償を受けられるのか。

「当然ながらある程度は保険でカバーされるでしょう。ただし、たいていは対象が制限されていたり、補償上限が決められており、そこまで十分に補償されることはないでしょう」。こう見通しを語るのは、企業法務に詳しい辻本奈保弁護士だ。

報道によると、今回のシステム障害による世界全体の被害額は150億ドル(約2.3兆円)と推定され、そのうち、保険でカバーされるのは、15億~30億ドルともいわれている。単純計算で、被害額の10分の1程度にとどまる。

このシステム障害との関連は不明だが、ほぼ同じタイミングで7月19日には日本マクドナルドに、レジが作動しない不具合が発生。全国の約30%の店舗で、営業が中止された。

同社は3月にも大規模システム障害で、対面注文やモバイルオーダーの注文が不能になっている。接客力に定評のあるマクドナルドだが、ファストフードチェーンではDXの先端を走っており、システム系の障害が起これば、店舗での営業に甚大な影響が発生する。

マクドナルドは直営以外のFC(フランチャイズ契約店舗)が7割前後といわれており、こうした直営外のFCに対し、同社はどこまで損失を補償するのか。「契約内容次第ですが、一般論として、おそらくすべてが補償されるのは難しいでしょう。システム障害がなかったとした場合の売上の算定は難しいでしょうし、免責事項としてどこまで記載されているかによっても補償内容は大きく変わってきます」(辻本弁護士)

システム障害における補償については、損害全ては難しく、どうやら「最低限の補償」が現実的といえそうだ。