自動車ディーラーが勧める「自動車保険」が割とお値段高めなワケ

AI要約

自動車保険についての解説。必要最低限で済ませる人が多い現実。

自賠責保険と任意保険の違い。保険料を支払っても事故がなければ無駄になる掛け捨て型。

保険料の削減について。安すぎるといざというときの負担になる可能性も。

自動車ディーラーが勧める「自動車保険」が割とお値段高めなワケ

 自動車ユーザーの約80%が任意の自動車保険に加入している。自動車保険は、加入期間中に事故がなければ掛け捨てとなり、そのため「必要最低限」で済ませる人が多いのが現実だ。

 自動車保険は、万が一のときに役立つものであり、損をする可能性もある。本稿では、元自動車ディーラーでファイナンシャルプランナーの筆者(宇野源一)が、自動車保険の削減について解説する。

 自動車保険だけでなく、火災保険や旅行保険などの損害保険は基本的に「掛け捨て」型だ。つまり、保険料を支払っても事故がなければ無駄になってしまうため、保険期間を全うするだけの人が多い。そのため、自動車保険には等級制度があり、事故を起こさない優良ドライバーは等級が上がり、保険料が安くなる。

 自動車ユーザーは、自賠責保険(強制保険)と任意保険に加入する。自賠責保険は、相手方への最低限の補償を目的としており、ケガ等の場合は最大120万円、死亡の場合は最大3000万円まで補償される。軽微な事故には十分だが、重大な事故には自賠責保険だけでは不十分だ。

 過去には、死亡の場合に数億円の賠償金が発生した判例もあるが、その場合でも保険に加入していれば、自己負担は保険料だけで済む可能性が高い。このため、多くの人が保険料を支払っているといえる。

 年間数万から10万円以上を無駄にしたくないというのは、多くのユーザーの一般的な考えだ。

 筆者も同様に、買い物の際にはコストパフォーマンスの高い商品を探す。自動車保険のようにほとんど使う機会がないものであれば、できるだけ安く済ませたいと思うのは当然だ。ただし、安くしすぎると、いざというときに大きな負担になる可能性があるため、バランスには注意が必要だ。

 最近では、テレビCMでもよく見かけるインターネット型の自動車保険が普及している。以前は、損害保険会社の代理店やディーラーで加入するのが一般的だったが、ここ10年ほどで市場は変化してきた。

 とはいえ、保険知識が乏しいユーザーにとっては、お勧めプランを提供する代理店を通じて加入することが安心感につながるだろう。筆者がディーラーに勤務していた頃、顧客に自動車保険を提案する際には、会社が設定したお勧めプランを提示していた。

 お勧めプランは補償内容が充実しているため、どうしても割高になる。ユーザーから

「保険料が高い」

との声をよく聞いたが、保険料が高ければ保険会社の手数料収入も増えるため、営業マンが高額な補償プランを提案するのは自然なことだ。ただし、彼らはユーザーを食い物にしようとしているわけではなく、

「親切心」

からそうしていることを理解してほしい。補償を充実させることで、万が一のときにユーザーに過剰な負担をかけないように、過去の業務経験から得たプランを提供しているからだ。

 むしろ、十分な補償が受けられることで、ユーザーの満足度が高く、お勧めプランを提案しているのだ。