アントニオ猪木氏から〝闘魂ビンタ〟の洗礼 ピアノで弾いたパキスタン国歌はTVで放映 国際舞台駆けた外交官 大江博氏(18)

AI要約

元駐イタリア大使の大江博氏が外交の舞台裏を明かす。パキスタンでの体験やアントニオ猪木氏とのエピソードを通じて、外交官としての奮闘を振り返る。

厳しい警備状況の中で仁王立ちするパキスタンの警護官やアントニオ猪木氏との交流、そして突然の闘魂ビンタについて述べられる。

さらに、禁酒国であるパキスタンでの「美味いワイン飲ませろ」というエピソードも紹介。外交の舞台裏に隠された奇跡や笑いを垣間見る。

アントニオ猪木氏から〝闘魂ビンタ〟の洗礼 ピアノで弾いたパキスタン国歌はTVで放映 国際舞台駆けた外交官 大江博氏(18)

公に目にする記者会見の裏で、ときに一歩も譲れぬ駆け引きが繰り広げられる外交の世界。その舞台裏が語られる機会は少ない。ピアニスト、ワイン愛好家として知られ、各国に外交官として赴任した大江博・元駐イタリア大使に異色の外交官人生を振り返ってもらった。

■身を賭して〝仁王立ち〟

《2011年から駐パキスタン大使として赴任した首都イスラマバードの警備は厳しかった》

金属探知機が至る所にあってセキュリティーチェックが徹底されており、その意味で私は「日本大使を暗殺しようとすれば、最も難易度の高い都市だ」と半ば本気で語っていたほどです。

ある日、市内のホテルでレセプションがあった際、トイレに入ると突然、停電に遭遇。数秒後に電気はつきましたが、私のパキスタン人警護官が仁王立ちとなり、私を守ろうとしました。自身の家族でもパキスタン人でもない私を命を賭して全力で守ろうとしてくれた姿に感動しました。

■猪木氏「話せば分かる」

《イスラマバードとは正反対に、西部ペシャワルは危険地帯と化していた》

プロレスラーで参議院議員も務めたアントニオ猪木氏が12年、パキスタンを訪れました。ペシャワルで他流試合があったためです。彼はパキスタンでも有名人。外務省は渡航を控えるよう促しましたが、強行しました。

イスラマバードのホテルで関連のレセプションがあり、私は「固いことを言わずに」と参加しました。猪木氏といえば、〝闘魂ビンタ〟が有名。「希望者にはビンタをする」ということで、参加者が長い列を作りました。

日本から同行してきたスポーツ紙記者が「大使、(ビンタは)どうですか?」と聞いてきた。私はその気になり、私の順番が回ってきました。

顔を差し出した瞬間、大きな音がした。ところが全く痛くない。下手に叩くと激痛が走るはずです。プロは違う、と感動しました。

私がビンタされた瞬間の写真は翌日、日本のスポーツ紙に掲載されました。ヤフーニュースも「パキスタン大使に、闘魂ビンタ!」などと画像付きで報じ、外務省で話題になりました。ちなみに、記事の中での猪木氏のコメントは、「話せば分かる」。

■禁酒国なのに「美味いワイン飲ませろ」