最新研究結果からわかった!認知症を抑制するカギは?食事・運動・社会参加・認知トレーニング……etc、2つ以上の活動に効果あり!

AI要約

厚生労働省が発表した最新の『認知症高齢者の将来推計』によると、2040年には認知症患者が584万2000人に達し、MCIも612万人になる見込みで、認知機能に関わる症状が高まる時代が来ることが予測されている。

過去の調査から、2022~23年の認知症有病率は低下傾向が報告されており、MCIから認知症に進展する割合も減少している可能性が指摘されている。

認知症とMCIの違いを認識し、MCIの人は認知機能が低下しているが日常生活を送ることができる状態であり、認知機能の維持や進行予防について、国立長寿医療研究センターの専門家による情報が提供されている。

最新研究結果からわかった!認知症を抑制するカギは?食事・運動・社会参加・認知トレーニング……etc、2つ以上の活動に効果あり!

 前回(『認知症の将来推計が大幅低下? 健康意識の高まりと生活習慣病コントロールに活路あり』)から、『認知症高齢者の将来推計』を見ている。

 今年のGW明けに厚生労働省が発表した最新の『認知症高齢者の将来推計』によると、団塊ジュニア世代が65歳以上になる2040年に認知症患者は584万2000人になるという(65歳以上人口のおよそ15%)。また、認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)は612万人(同15,6%)で、両方を合わせると、「65歳以上の3人に一人が認知機能に関わる症状がある」時代がやってくる。

 発表の元となった調査からは、「2022~23年の認知症の有病率は、厚生労働省により報告された2012年の認知症有病率と比べると、低下傾向を認めた」こともわかっている。調査を担当した九州大学の二宮利治先生によると、「MCIから認知症へ進展した者の割合が低下した可能性が考えられる」という。

 そこで今回は、MCIから認知症に進展させないために「なにかできることはあるのか」、さらに認知機能をキープするために、私たちはそもそも「いつからどんなことを行えるのか」について、国立長寿医療研究センターの桜井孝先生にお伺いしながら考える。

 お話を伺う前に、MCIと認知症について改めておこう。

 国立長寿医療研究センターが作成・発行した『あたまとからだを元気にする MCIハンドブック』(以下、ハンドブック)によると、認知症には「一人暮らしが困難なほど認知機能が低下した状態」という定義があるという。

「お金の扱いや、服薬や食事、生活の様々なことを一人で行うことが難しい状態です」

『あたまとからだを元気にする MCIハンドブック(ウェブ版)』は、国立長寿医療研究センターHPからDL可能。国立長寿医療研究センター (ncgg.go.jp)

 一方、軽度認知障害(MCI)の人は、「認知機能に関して低下を感じている、同じ年代の人と比べて認知レベルが低下しているが、基本的には日常生活を正常に送ることができる状態」を指す。

「ただし行きなれている場所に行ったり、使いなれた機械は使えても、新しい場所や機械は苦手になります。日常生活も、どうにか送れるものの、テキパキと行うことは難しくなっている状態です。認知機能は年とともに低下していきますが、MCIの人は認知機能のレベルが年相応よりも低下してしまっている状態なのです」