水泳選手「生理」になったらどうする? 元日本代表が明かす「痛みで失神」「白ジャージが真っ赤…」の過去

AI要約

元競泳日本代表で、パリパラリンピック日本代表のコーチを務める竹村幸さんが、水泳選手としての生理事情について語る。

生理痛に長いこと苦しんでいた竹村さんは、経血モレが日常茶飯事で、その対策や周囲の女子選手たちの助け合いについて明かす。

女子選手同士の助け合いや先輩たちのサポートが、競泳競技での生理トラブルにどれだけ大切かが伝わる。

水泳選手「生理」になったらどうする? 元日本代表が明かす「痛みで失神」「白ジャージが真っ赤…」の過去

 日本人選手のメダルラッシュに沸くパリ五輪。連日さまざまな競技が注目を集める中、記者(女性)はふと思う。「水泳選手って、生理の時はどうやって練習しているの……?」。実はよく知らないアスリートの生理事情について、元競泳日本代表で、パリパラリンピック日本代表のコーチを務める竹村幸さん(35)に話を聞くと、日常茶飯事だという“経血モレ”の対策や、生理とうまく付き合えるようになるまでの苦労を語ってくれた。

*  *  *

――現役時代は、生理に伴う症状に長いこと苦しんでいたそうですが、当時の状況について教えてください。

 20代前半までは、とにかく生理痛がひどかったです。高校生のころ、ピルは避妊のイメージが強くて試そうと思わず、痛み止めも飲まずにやり過ごしていたら、3年生のインターハイの試合直後、ものすごい生理痛に襲われて倒れました。

 泳ぐ前はアドレナリンが出ているので痛くないんですけど、泳ぎ終わって、「よかった優勝だ」と思いながらプールサイドにはけたら、そのまま失神しちゃって。幸いすぐに目が覚めたので、血だらけで表彰式に向かいました。

――経血モレも日常茶飯事だったのですか。

 私は他の人より(経血)量が多くて、多い日用のナプキンをつけても1時間で真っ赤に染まるレベルでした。中学生のころから、スイミングスクールの先輩に教わってタンポンをつけはじめたのですが、正直タンポンは“気休め”です。

 水中にいると水圧のおかげで血は流れ出ないんですけど、プールからあがった瞬間にバッと出ちゃう。タンポンをしていても隙間はあるし、泳いでいるうちに水を吸って血を吸収しきれなくなるので、経血モレは当たり前でした。プールを出てトイレに向かう途中、床に血がぽたぽた垂れて、男性コーチが「鼻血かと思ってびっくりしたよ!」なんて言いながらバケツで水をかけて流してくれたり(笑)。

 泳いだあとに水着のままミーティングに出なければいけない時もあって、内股に垂れてくるものが水なのか血なのか分からず、ひたすら赤か黒のセーム(吸水性に優れたスポーツタオル)でぬぐっていました。水着の上にジャージを着る手もあるんですけど、ジャージ内側の白色のメッシュ生地って血がつくと全然とれないので、汚したくなくて。

 今でも盛大な失敗として思い出すのは、陸上トレーニングの時のことですね。その日は生理が終わりかけだったので、ナプキンはつけずタンポンだけで過ごしていたら、みんなが「漏れてるよ!」と。見たら、日本代表の白いジャージが真っ赤になっていて……。そういう時、優しい子は腰に巻いて隠せるものを持ってきてくれます。

■タンポンのひもが出ていたら…

――生理のトラブルに見舞われたら、女子選手同士で助けあうのですか。

 そうですね。たとえば、水泳は股関節をよく動かすので、タンポンのひもが水着から出てしまうことがあるんです。飛び込み練習の時なんかにそういう子を見つけると、周りから見えないよう、ほかの女の子たちがさっと後ろに立って「出てるよ」ってこっそり教えてあげたりします。

 あとは、水泳はどうしてもおなかを冷やすので、生理痛がひどくなって寝ている子がいたら、プールの掃除を代わってあげたりとか。突然生理になった時は、トイレで一緒になった人にナプキンを分けてもらうこともありました。

 生理の話ふくめ、スクールの先輩たちにいろいろと相談できたのもありがたかったです。面倒をみてくださるお姉様たちが10人くらいいて、家族には恥ずかしくて聞けないことも気軽に聞けました。