約10世帯が暮らす集落で記者が目にした悲惨な光景…道路寸断で豪雨被害伝わらず「現状を知ってほしい」【山形発】

AI要約

記録的な大雨で甚大な被害があった山形・酒田市の大沢地区について報告。国道344号の崩落や道路の寸断などで集落が孤立し、復旧作業が進む中、住民の悲惨な状況が明らかになった。

集落には土砂や流木が押し寄せ、住宅に大きな被害が出ている。住民は避難や物品の救出に苦労し、行政の支援が望まれている。

道路が復旧し、急速に情報が伝わる中、被害状況が浮き彫りに。現状の把握が始まり、支援が必要とされている状況が明らかになった。

約10世帯が暮らす集落で記者が目にした悲惨な光景…道路寸断で豪雨被害伝わらず「現状を知ってほしい」【山形発】

記録的な大雨で甚大な被害があった市町村の1つが山形・酒田市。市内でも特に被害が大きかったのが、山間にある大沢地区だ。今回の大雨で荒瀬川が氾濫し、川沿いにある大沢地区と国道344号は目を疑う悲惨な光景が広がっていた。

大沢地区は、住所でいうと、大蕨・常禅寺・北青沢などが含まれている。そして、酒田市の市街地からこの大沢地区を通り、真室川町につながるのが国道344号だ。

国道344号は、橋や道路の崩落・土砂崩れが発生し、酒田市側・真室川町側のどちらからも通れなくなり、大沢地区には一時孤立した集落があった。

その後、応急的な復旧措置によって酒田市側から段階的に通れる範囲が広がり、7月31日午後2時からは、最も真室川町側にあり、これまで歩いてしかたどり着けなかった北青沢の一部の集落にも車で行けるようになった。

31日、その集落に向かうと、目を疑う悲惨な光景が広がっていた。復旧に向けた作業は手付かずで、住民からは「この被害の状況をまずは知ってほしい」との声が聞かれた。

酒田市北青沢の中村集落は、10世帯ほどが暮らす山間の集落だ。足を運ぶと見えてきたのは、おびただしい量の土砂と流木、そして大きく壊れた家々だった。

以前撮影された集落の一角は、今回の記録的な大雨によって大きく姿を変え、道路も川も土砂の下に。避難先から様子を見に来た遠田透さん・憲子さん夫妻の家にも、裏山から崩れた土砂が入り込んでいた。

「仏壇の裏からどんどん水が入ってきて」「仏壇の裏が流木で穴が開いて、そこから水が入ってきた」と説明してくれた。

特別警報が出た25日、2人は職場のある酒田市街にとどまるほかなく、母親1人が2階に避難し夜を明かしたという。最後に連絡が取れたのは25日の昼12時40分ごろ。しかし、携帯電話も圏外になり、1日半ほど連絡が取れなかったのだという。

集落を歩いていくと、屋根しか見えなくなってしまった住宅もあった。築150年、広さ100坪という大きな家には、1階の天井近くまで土砂が流れ込んでいた。

この家に住む相蘇竜樹さん:

きょうは潜って出せるところを出して、玄関の家紋も出して2階に上げて、中の鴨居にある先祖の遺影も出して、勲章も出して、2階がちょっと安全なのでそこに避難させて…それぐらいしかできない。

相蘇さんは、31日まで道路が寸断されていたことで青沢集落の悲惨な被害状況が伝わらず、行政の支援も届いていないと憤る。

相蘇竜樹さん:

泥をかき出すとか、汚れた家具を集積場に持っていくとか、そんなことはできない。「片づけられるだけうらやましい」というのがわれわれの感情。知らない人をなくして、知っている人を増やしていく。それしかない、現状を知らない人がいっぱいいる。

大沢地区への大動脈がようやく通行可能となったことで、現状の把握がようやく始まる。

(さくらんぼテレビ)