中2から4年引きこもりの少年 家族は「精神的に限界」 社会とつながるきっかけは"自立援助ホーム"に

AI要約

17歳の引きこもりリョウタさんが自立援助ホーム「陽和ハウス」に入る

自立援助ホームでのリョウタさんや寮長ナオトさんの取り組みと課題

渋谷さんが若者の成長を支援し、社会人としてのステップアップをサポート

中2から4年引きこもりの少年 家族は「精神的に限界」 社会とつながるきっかけは

働いて社会とつながることで、子どもたちが自立への一歩を進めるよう支援する「自立援助ホーム」。今回、愛知県豊田市にある「陽和ハウス」の取り組みを取材しました。

岐阜県内のある家を訪ねた男性。階段を上った2階の部屋には、食べ終わったあとの食器や食べかけのパンが、そのままになっています。部屋にいたのは、17歳のリョウタさん(仮名)。中学2年生のときに学校とのトラブルがあり、その後、引きこもりの状態が続いています。

男性は、引きこもりの少年を支援するNPOの代表・渋谷幸靖さん。この日、リョウタさんは家を出て、NPOが運営する自立援助ホーム「陽和ハウス」に入ります。

(陽和ハウス・渋谷幸靖理事長)

「何を持っていく?パソコン持っていく?」

(リョウタさん【仮名】)

もう帰ってこない?」

(陽和ハウス・渋谷幸靖理事長)

「足りないものは、送ってもらえばいいから」

リョウタさんの腕には、リストカットの痕が残っています。

(リョウタさん【仮名】)

「(リストカットは)気分。わーってなったときに」

引きこもりになって、もう4年。いろいろ努力はしましたが、リョウタさんは自分も家族も限界だと思うようになりました。

(父親)

「精神的に限界の状態が、ずっと続いています。暴力が妻たちに向かっていくときは、正直殺意を覚えることもありました。本当はすごく優しい子。家族から離れたほうが、いいのではないかと」

(リョウタさん【仮名】)

「(家族と離れるのは)別に、そこまで何とも思わないかも」

このままでは家族が壊れてしまう。こうして第三者を頼ることも、一つの選択肢です。父親は、望みを託して送り出します。

(父親)

「笑って過ごしてくれればいいですね。自分がやりたいことを、楽しい気持ちでできるような生活を送れるようになってほしい」

リョウタさんが入所した自立援助ホーム「陽和ハウス」は、愛知県豊田市にあります。8人の少年がここで暮らしながら、就職の斡旋を受けて自立する道を探っています。

ハウスの寮長・ナオトさん(仮名)は2024年3月から、市内のデイサービスで働いています。4月に取材したときには本人の希望で正社員でしたが、現在はパートになっていました。

(デイサービス副代表)

「半分以下ぐらいの出勤率になったので、このままでは正社員の維持が難しいと話してパートに。大事な時期だと思うので。ここで失敗してしまったら、失敗経験になってしまうのが嫌だなと思って。チャンスを与えながら、継続していきたいと感じて(辞めさせなかった)」

ナオトさんは、夜遅くまでスマホを見る生活習慣が変えられず、寝不足などで欠勤続きに。それでも辞めさせたくはないと、施設側はパートで働いてもらうことにしました。

(陽和ハウス・渋谷幸靖理事長)

「生活リズムとかさ、結構前から言っているけど、全然変わらないじゃん」

(ナオトさん【仮名】)

「なるべく早めに寝るようにしているけど。朝4時ぐらいに寝て、10時ぐらいに起きて」

(陽和ハウス・渋谷幸靖理事長)

「自分で考えていかないと、正社員になれないと思うよ」

(ナオトさん【仮名】)

「できないわけがないと思う。明日2時に寝て、明後日1時に寝て。いきなりは寝られないと思うので、少しずつ」

自立を目指してはいますが、まだ10代。渋谷さんは、機会を作っては丁寧にアドバイスします。

(陽和ハウス・渋谷幸靖理事長)

「少年から社会人に移り変わる中の葛藤が、彼の中であるのかなと感じる。これをやったらこうなるということが分かるように。彼を信じながら寄り添い続け、声をかけて、社会人として歩んでいけるように伴走をしていきたい」