90人一斉逮捕、5人が公開手配に…被害額10億円の「SNS型投資詐欺」 リーダー格の男の“意外な暮らしぶり”とは

AI要約

SNSを利用した投資詐欺グループが大規模な摘発を受けた。捜査により90人以上が逮捕され、被害額は10億円以上に上るとされる。

詐欺グループはSNSで勧誘を行い、為替相場の予想やバイナリーオプションを装って被害者から金銭をだまし取っていた。捜査によりグループの拠点やリーダー格が特定された。

逮捕者にはリーダー格や打ち子の他、会社経営者なども含まれており、公開手配された者もいる。被害者への接触や勧誘は営業活動のような感覚で行われていた。

90人一斉逮捕、5人が公開手配に…被害額10億円の「SNS型投資詐欺」 リーダー格の男の“意外な暮らしぶり”とは

 不特定多数のSNSをフォローし、反応があった相手に投資を持ちかけ金をだまし取る。いわゆる「SNS型投資詐欺」の拠点が、全国で初めて大阪府警によって摘発された。

 捜査員は異例の約470人態勢で、一挙に90人もの逮捕者が出るなど、近年まれに見る規模の摘発である。

「7月23日、府警の特殊詐欺捜査課が詐欺グループの拠点を一斉捜索しました」

 と、社会部デスク。

「詐欺の手口は、SNSで反応が返ってくると投資の勧誘をスタート。まずはメンバーが講師に成りすまします。そして為替相場の変動を予想して投資する“バイナリーオプション”で“勝率が上がる”と謳い、情報商材購入費や指導料の名目で金を取る。被害者は150人超、被害額は10億円に上るとされますが、実際の数字はもっと大きいでしょう」

 グループは100人規模で、80人ほどの“A”、約20人の“B”に分かれており、

「Aグループは3年ほど前、Bグループは昨年7月ごろから活動していました。両グループの拠点は、大阪市中央区と西区にある四つの民間ビル内に計10部屋。府警は捜索で、スマホを1830台余りとパソコン約60台、詐欺マニュアルなどを押収。19~45歳の男女90人を詐欺未遂や詐欺の疑いで逮捕しています」

 直接の逮捕容疑は、Aグループについては今年4~7月、男女4人から指導料名目で金銭を詐取しようとしたというもの。Bグループは今年2~3月に20代女性から約90万円をだまし取った疑いだ。

 逮捕者90人の大部分は拠点からSNSでメッセージを送る“打ち子”だったが、両グループそれぞれのリーダー格も含まれていた。

 一斉摘発で79人が逮捕されたAグループでは、職業不詳の高嶋恭平容疑者(24)。11人が逮捕されたBグループでは会社役員の山田吉彦容疑者(43)や、行政書士の島内大起容疑者(40)がその立場とされる。先のデスクによると、

「Bグループの山田容疑者は、石油製品販売や太陽光発電を手がける『ワールドトラスト』の代表。西区の拠点の一室にはその社名が掲げられています。会社近くの高級タワマンに住んでいますが、派手な生活をしているわけではない。言ってみれば、どこにでもいる会社経営者です」

 この山田容疑者のビジネス仲間が島内容疑者で、

「若い女性を装い、ブランド品などの写真を投稿するSNSアカウントで相手と接触。“商材を買えば2週間で利益が出る”“利益を継続的に出す魔法”といった誘い文句で持ちかける。こうしたノウハウを作り、打ち子にも徹底させていた。高い“管理能力”を持ち合わせています」

 リーダー格に半グレや反社といった勢力の影は薄く、目立った前科持ちもいないという。

「一斉摘発後の26日、府警は男女5名を公開手配しました。そのうち41歳の中村晋弥容疑者はBグループのリーダー格で、山田・島内両容疑者の上役にあたる。民泊関連事業や詐欺被害の調査事業などの会社を3社経営し、山田容疑者同様、若手経営者といった風情です」

 公開手配された5名のうち、7月30日に宮脇翔容疑者(29)と岡田真由容疑者(25)が出頭し、逮捕された。

 会社経営のつもりで詐欺グループを運営し、営業をかける感覚で、SNSで不特定多数の人に接触していたとでもいうのだろうか。

「週刊新潮」2024年8月8日号 掲載