内閣府の地方創生「薄すぎる報告書」のショボすぎる中身…この10年は「ムダ」だったのか

AI要約

地方創生が始まって10年が経とうとしており、内閣府地方創生推進事務局では10年の取り組みと今後の推進方向に関する報告書を作成した。

地方創生政策ではPDCAサイクルやKPIなどの手法が推奨されており、今回の10年検証が行われることになっている。

地方創生の成果について民間の報告書でも否定的な内容が示されているが、筆者はポジティブな視点での振り返りを提案している。

内閣府の地方創生「薄すぎる報告書」のショボすぎる中身…この10年は「ムダ」だったのか

地方創生(まち・ひと・しごと創生)が始まって10年が経とうとしている(まち・ひと・しごと創生会議設置は2014年9月3日)。

内閣府地方創生推進事務局では、2024年6月10日に「地方創生10年の取り組みと今後の推進方向」と銘打った報告書を作成した。

地方創生の総合戦略の中では、PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action→planの循環サイクル)やKPI(重要業績評価指標)といった手法が推奨されており(とくにPDCAはここから各自治体に広がった)、今回10年たって地方創生政策そのもののフィードバック検証がなされるのは当然でもある。

だが、それにしては薄い報告書である。A4で12頁。どうにも拍子抜けのする内容だ。

地方創生はもともと、当時「増田レポート」と言われたいわゆる「地方消滅」提言が民間から出されたことがきっかけとなっている(2014年5月9日発表)。

その民間グループから2024年3月・4月に10年後の検証が出されており、その内容の検討は過去記事「女性は「地方にいろ」と言うのか…「消滅可能性都市」増田レポート最新版が押し付ける「少子化の責任」」で述べた通りだ。

この報告書を以下、10年前と今回をのものを含め「民間報告書」と略すそう。さて、地方創生はまだ丸10年経っていない。なのにこのタイミングで10年検証が出たというのは、この民間の10年検証に対して、政府も慌てて出した、ということなのだろう。それが「薄いワケ」の真相ではないか。

さて、その民間報告書では地方創生10年の成果が何もなかったかのようにも発信されていた。たしかにその通り。事実、出生率・出生数は10年でさらに下がって最低記録を更新しており、その原因とされる東京一極集中も止まっていない。そうした現実に対して、政府としても声高らかに「これができた」とは言えなかったのだろう。

だがそれなら地方創生の10年は無駄だったことになる。しかし筆者は決してそうとも思わない。地方創生の10年を、今回はもっとポジティブな視点で振り返ってみたい。