奈良県立民俗博物館の保管方針発表 不要収蔵品はデジタル化して廃棄

AI要約

奈良県立民俗博物館の収蔵品の保管に課題があり、山下真知事が新たな取り組み「民俗資料の収集・保存奈良モデル」を発表した。

奈良モデルでは、収蔵品のデジタルアーカイブ化や専門家による保存ルールの策定、ボランティアの活用などが盛り込まれている。

同博物館では所蔵品が増加し保管スペースに余裕がなくなっており、適切な受け入れ基準を設けるための取り組みが必要とされている。

奈良県立民俗博物館の保管方針発表 不要収蔵品はデジタル化して廃棄

収蔵品の保管のあり方が課題となっている奈良県立民俗博物館(同県大和郡山市)について、山下真知事は30日の定例記者会見で、収蔵品約4万5千点の3Dデジタルアーカイブ化や、専門家による収集・保存ルールの策定などを盛り込んだ「『民俗資料の収集・保存』奈良モデル」を発表した。今後3年間をめどに取り組むとしている。

奈良モデルに盛り込まれたのは、民俗資料のDX推進▽専門家の協力を得て収集・保存ルールを策定▽大学・博物館等やボランティアの協力を得て資料整理を促進▽多様な主体による資料保存・活用▽国への要望-の5つ。うち資料整理については、同館の学芸員3人では作業が膨大なため、ボランティアを募集し、データベースの入力作業などを進めるとしている。

ルールに照らして民俗博物館で保存しないと判断した資料については、市町村やホテル、古民家レストランなどの民間に譲渡し、有効活用してもらう。その上で、譲渡先がないものは現物を廃棄しデジタルデータを残す。

同館の所蔵品を巡っては、昭和49年の開館時は約7500点だったが、積極的に資料を受け入れてきた結果、平成15年に約3万1千点、19年に約4万点まで増加。保管スペースが足りなったため旧高田東高校や旧郡山土木事務所に仮置きするようになり、24年からは収集抑制を強化するようになった。県によると、近畿圏内の民俗博物館での民俗資料は1館あたり約5千~1万1千点だが、県立民俗博物館は約4万5千点と突出して多い。

同館では、過去には個人の蔵の所蔵品を引き取った例もあったといい、山下氏は「本来なら受け入れの時点で精査すべきだった」と指摘。「きちんとルールを策定しデジタルアーカイブ化をした上で、どうしても引き取り手がないものはやむを得ず廃棄する」との見解を示した。