朝鮮半島出身労働者らに関する展示、「佐渡島の金山」の地元で始まる

AI要約

新潟県佐渡市の相川郷土博物館で鉱山労働者に関する常設展が始まった。展示では朝鮮半島出身労働者の暮らしや過酷な労働環境が紹介されている。

展示物には、朝鮮半島出身者の労働者数や労働条件に関する記録や資料が展示されており、当時の状況が分かる。

訪れた人々は展示を通じて過去の歴史に触れ、事実を知ることの重要性を感じている。

朝鮮半島出身労働者らに関する展示、「佐渡島の金山」の地元で始まる

 新潟県佐渡市の相川郷土博物館で28日、朝鮮半島出身者を含む鉱山労働者に関する常設展の公開が始まった。市内にある「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産への登録が27日に決まった際、世界遺産委員会の委員国の一つで、「強制労働被害の現場だ」と主張する韓国との交渉などを踏まえ、日本政府は、全ての労働者に関する新たな展示物を現地の施設で展示したと表明していた。

 展示は「朝鮮半島出身者を含む鉱山労働者の暮らし」などと題され、約30点のパネルなどで構成されている。パネルでは、1940年から45年の終戦まで、佐渡鉱山での朝鮮半島出身労働者の総数は1519人だったと記録する文書があると説明。朝鮮半島出身の労働者は、危険な坑内作業に従事した人の割合が、内地の出身者よりも高かったことを示す資料の存在や、朝鮮半島出身労働者による待遇改善を求める労働争議や、死亡事故の記録があることなども紹介している。

 28日は午前8時半に開館すると、見学に訪れる人の姿が見られた。家族旅行中に訪れた東京都大田区の会社員佐藤久さん(38)は「朝鮮人労働者が金山で働いていたことを初めて知った。事実は事実として提示することは大切だと思う」。学芸員の庄子遥さんは「戦時中に鉱山の労働環境が悪化し、すべての労働者が過酷な環境に置かれたが、特に朝鮮半島出身者に厳しかった。展示を通じて全体の歴史に触れてほしい」と話した。(茂木克信)