「霞が関は変われる」異色の官僚が仕掛ける“意識改革”作戦
霞が関での長時間労働や若手官僚の離職増加が社会問題化しており、内閣府が取り組みを始めている。
内閣府での初の若手有識者ワークショップが開催され、楽天大学学長や社会活動家が講師を務め、意識改革や自己中心的利他の重要性が討論された。
ワークショップでは社会課題への取り組み方が学ばれ、具体的な解決策が探求されている。
国会対応などで長時間労働が状態化し、メディアなどでは「ブラック」と揶揄されるようになった霞が関。
働き方のマイナスイメージが強まったこともあってか、2024年度の国家公務員試験の受験者数は過去最低を更新した。10年未満の退職者も2018年度から3年連続で100人を超えるなど、若手の離職の増加も課題になっている。
そんな状況を変えようと、民間の力も借りながら若手官僚の意識を変えようという取り組みが始まっている。
「組織で働くというと自己犠牲が必要と思われがちですが、自分が“やりたくて得意なこと”で喜ばれる状態をつくれたらいいですよね。それを自己中心的利他と呼んでいます。それを実践するために、許可を得ないでできることから始めてみてください」
7月2日、内閣府本庁舎には内閣府・内閣人事局の若手官僚5人が集まっていた。
講師として彼らに語りかけていたのは、楽天大学学長で仲山考材代表を務める仲山進也氏。仲山氏は創業当時の楽天に入社し、「楽天大学」を通じ出店者コミュニティの立ち上げに尽力したことで知られる人物だ。
「仕事というのは、自己犠牲を払うものだと思い込んでいた」
「許可を得ないで自分でできる範囲から始めてみるという視点はなかった」
若手官僚達からはさまざまな実践報告がなされ、どんな行動ができていて、どんな行動ができていないのか、具体的な意識改革方法まで議論された。
これは内閣府が初開催した「若手有識者との語らいを通じて『社会課題への向き合い方』を学ぶワークショップ」の一コマだ。
ワークショップでは有識者が講師を勤める講演・ミーティングに計4回参加、各自が解決したい社会課題を設定し、その解決のために自分に何ができるのか、ディスカッションや個人ワークなどを通じ、最後は成果を発表するという。
講師には仲山氏に加え、シェアリングエコノミー協会代表理事の石山アンジュ氏、HI合同会社代表の平原依文氏ら一線で活躍する人材が協力している。