猛暑、作物だけでなく農家の人たちの健康を直撃 熱中症で死亡事故も

AI要約

農作業中の熱中症リスクが高まり、過去5年で最も多い救急搬送者数が記録された。特に高齢者や個人経営の農業者の危険度が高い。

熱中症による死亡者が増加傾向にあり、毎年7、8月が発生のピークであり、70代以上が大部分を占めている。個人経営の農業者は特に注意が必要。

農業従事者の高齢化が進んでおり、今年も農作業中に熱中症による死亡事故が報告されている。熱中症対策の啓発が必要。

猛暑、作物だけでなく農家の人たちの健康を直撃 熱中症で死亡事故も

 猛暑の影響で、農作業中に熱中症にかかるリスクが高まっている。農林水産省によると、昨年5月から9月に田畑などでの農作業中に熱中症で救急搬送された人は2013人と、過去5年で最も多かった。今年も亡くなる人が出ている。

 2022年に起きた農作業事故のうち、熱中症による死亡者は29人で、死亡事故全体の12.2%を占めた。10年前の12年は6.0%で、年によって増減はあるものの、割合は年々、増加傾向にあるという。

 発生は毎年7、8月が8割でこの時期に集中している。また年代別では、70代以上が9割近くを占める。

 同省によると、農業者は個人経営で1人で作業することが多いため、危険度が高い。1人で畑に出かけて帰らず、心配して見に行った家族が倒れているのを発見した死亡事例もあるという。

 仕事として主に自営農業をしている基幹的農業従事者は24年の速報値で111万人。うち7割が65歳以上で、高齢化も進んでいる。

 今夏も、愛媛県や福岡県などで、農作業中に熱中症になったとみられる死亡事故が起きている。

 同省は今年、5月から7月を熱中症対策研修実施強化期間に設定。地方自治体やJAなどが農業者向けの研修を開くよう促す。熱中症の症状や対策を説明する研修用のテキストも初めて作成した。(大村美香)