潜水艦にニンテンドースイッチは必要か

AI要約

海上自衛隊の潜水艦の修理業務を巡る川崎重工業社員の疑惑と海自隊員への金品提供疑惑について問題が発生している。また、「ニンテンドースイッチ」の供与問題も話題となっている。

潜水艦の非番の時間過ごし方の難しさや狭い環境下での乗員の生活条件など、海上自衛隊の潜水艦に関する具体的な状況が紹介されている。

潜水艦の乗員が直面する狭いスペースや生活上の制約についての軍事ジャーナリストのコメントも示されている。

潜水艦にニンテンドースイッチは必要か

海上自衛隊の潜水艦の修理業務を巡り、川崎重工業(本社・神戸市)社員が海自隊員に金品などを提供していた疑惑が持ち上がっている。たとえ、それが川重側と契約権限のない曹士などが対象であったとしても、スパナやレンチなど修理に必要な工具であったとしても、不透明な会計処理のもと、川重から供与を受けていたとすれば、申し開きは許されない。「潜水艦の乗員は大体70人。年間1億円を超えるような接待など考えられない」と語る海自元幹部もいる。「川重が作った裏金の大半には別の目的があったのではないか」と言いたいのだろうが、「それはそれ、これはこれ」だ。川重も批判されるべきだが、利益を得ていたのであれば、海自側も批判は免れない。

一方、こうした法律や綱紀粛正に絡む話とは別に、自衛隊関係者らの耳目を引いたのが、複数のメディアが報じた、ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の供与問題だ。なぜかといえば、潜水艦は、非番の時間帯の過ごし方が難しい職場の代表格だからだ。海上自衛隊が保有するディーゼル電気推進型の潜水艦は米国の原子力潜水艦に比べるとサイズが一回り小さい。海上自衛隊ホームページによれば、「たいげい」型潜水艦は「長さ84メートル、全幅9,1メートル、深さ10.4メートル」だ。ここに乗員約70人が乗り込む。もちろん、人だけではなく、エンジンや魚雷など様々な装備も搭載されている。

実際に乗艦した経験を持つ軍事ジャーナリストの柿谷哲也氏によれば、「たいげい」型潜水艦の場合、曹士が使う3段ベッドの1段のサイズは、高さ約60センチ、幅約50センチ、長さ約180センチしかない。トイレは若干広くなったと言われているが、「若い体格の良い隊員が座ると膝がドアにつかえてしまう」(元海自幹部)と言われるほどの狭さだ。しかも、通常動力型とはいえ、数週間単位で海に潜りっぱなしになることもよくあるようだ。水上艦なら、「デッキをジョギング」も可能だし、米軍の大型原潜の場合はトレーニングルームも備えていると言われる。でも、海自の潜水艦はそういうわけにはいかない。そもそも、水も貴重品で「シャワー室の使用は平均3日に一度」(柿谷氏)という状況で、簡単に汗など流せない。