たくさんの男性保育士が活躍する保育園「どろんこ会」。追求する理想の「保育」とは?

AI要約

2024年における日本のジェンダーギャップ指数が過去最低となったことを受け、男性のジェンダー意識変革の重要性が強調されています。

男性保育士の数が極めて少ない現状に対し、社会福祉法人どろんこ会が男性保育士の登用に力を入れており、男性保育士の割合が国内平均の3倍以上となっています。

安永愛香さんと佐藤慶太さんという両氏が、ジェンダー平等の実現を目指す保育現場の取り組みについて語っています。

たくさんの男性保育士が活躍する保育園「どろんこ会」。追求する理想の「保育」とは?

2024年における日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中128位と過去最低を記録しました。

ジェンダー問題はマイノリティとされる「女性やLGBTQの問題」であるかのように語られやすい傾向にありますが、社会に変化を起こすためにはマジョリティとされる男性側の意識変革も必要です。

今記事では、社会にあるジェンダーバイアスと向き合う男性たちの存在にスポットを当て、性別を越えて誰もがジェンダー問題を「自分ごと」としていく道を模索します。

クローズアップするテーマは「男性保育士」です。ジェンダー平等の実現を目指して、日本に「男女共同参画社会基本法」が制定されたのが1999年のこと。20年以上の時が経過し、さまざまな職業分野で女性の社会進出が進んでいますが、男女共同参画という観点で見ると「女性の多い分野に男性が進出する」という動きも同じくらい重要な役割を果たします。

そんな、男性の成り手が少ない職業の1つが保育士です。厚生労働省がまとめた資料にある保育士の男女比を見てみると、2020年4月時点で保育士登録者の男性は全体の約5パーセントと極めて少なく、実際に就業している男性はさらに少ないと考えられます。

世の中にある「育児は女性の役目」といった、性別役割を固定するジェンダーバイアスは少しずつ解消されてきている状況の中、なぜ保育士として活躍する男性の数は増えないのでしょうか?

その原因を探り、ジェンダーの偏りなく多様な人材が活躍する環境を実現することは、保育の質向上にもつながる重要な課題だといえるでしょう。

このような状況下で、20年以上も前から男性保育士の登用に力を入れているのが、社会福祉法人どろんこ会です。同園の保育士全体の12.5パーセント(2024年現在)と、国内平均の3倍以上の男性保育士が現場で活躍しています。

また、園長ほか保育施設の管理職も女性に偏りやすい傾向がある中で、どろんこ会では男性管理職が23.5パーセントを占めています。

今回は、同会の理事長を務める安永愛香(やすなが・あいか)さんと、現役の保育士で千葉県・君津市にある内箕輪どろんこ保育園の施設長を務める佐藤慶太(さとう・けいた)さんに、ジェンダー平等の実現を目指す保育現場の取り組みについて伺いました。