神宮再開発巡る落書き事件で環境活動家を略式起訴 「エコテロリズム」エスカレートに警鐘

AI要約

明治神宮外苑の再開発事業に抗議する環境活動家が落書きをし、米国籍の5人が略式起訴された。

落書きは伊藤忠商事を標的にし、再開発に伴う環境破壊や景観変化への懸念が背景にある。

5人は海外の過激な環境団体とつながりがあり、ノウハウを共有しながら犯行に及んだとみられる。

昨年から始まった明治神宮外苑(東京都新宿区など)の再開発事業に抗議するため、伊藤忠商事東京本社の敷地内に落書きをしたとして米国籍の環境活動家ら5人が警視庁公安部に書類送検され、今月、略式起訴された。環境保護や動物愛護を旗印にした過激な活動は世界各国で問題化。テロ行為に走る「エコテロリズム」にエスカレートするケースも懸念され、関係者は警戒を強めている。

■伊藤忠本社や工事現場に落書き

「木を切るな」「GRENWASHING」

昨年10月、伊藤忠商事東京本社敷地内のレストランなどがある伊藤忠ガーデンのモニュメントや壁側面4カ所に赤いスプレーなどによる落書きが見つかった。7月にも神宮第二球場の解体工事現場に設置されたパネル31カ所にスプレーを使って「皆の神宮外苑 守ろう」などとスプレーによる落書きが見つかった。

神宮外苑では再開発が進められ、敷地内にある743本の樹木を伐採し、新たに837本を植える計画だ。一部の周辺住民や環境団体などが敷地内の樹木の伐採による環境破壊や、景観の変化などを訴え、抗議活動を続けている。落書きは再開発事業に参画する企業の伊藤忠商事が標的にされたとみられる。

■5人はノウハウ共有し犯行か

同社からの被害届を受け、警視庁公安部が捜査。今年6月に仏国籍の自動車メーカーの男、米国籍の大学准教授の男、英国籍の高校教諭の男、カナダ国籍の高校教諭の男、日本人の会社員の男の5人を暴力行為処罰法違反容疑で書類送検し、7月に略式起訴された。

捜査関係者によると、5人は、交流サイト(SNS)や抗議デモなどで知り合ったとみられ、中には海外の過激な環境団体とつながりのある者もいたという。落書きのやり方などのノウハウを共有しながら犯行に及んだとみられる。

伊藤忠商事は今月3日、ホームページで「このような悪質な行為は決して許されるものではなく、当社は今後も毅然(きぜん)とした姿勢で臨む所存」とコメントした。

■過激化する環境保護団体