代執行で廃旅館の取り壊し着手 和歌山・有田市

AI要約

和歌山県有田市で初めて空き家解体作業が始まり、劣化した旅館の建物が取り壊されることとなった。

解体作業は周辺住民の安全確保が必要とされ、建物は昭和43年に建設された鉄骨6階建ての旅館本館とコンクリートブロック平屋建ての物置の2棟。

所有者の親族が相続権を放棄しているため、市が解体費用を負担し、解体は今年12月末までに完了する見込み。

代執行で廃旅館の取り壊し着手 和歌山・有田市

和歌山県有田市は16日、同市宮崎町の逢井(おおい)地区で旅館として利用されていた建物の劣化が進み周辺住民の安全確保が必要だとして、「空き家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、略式代執行による建物の取り壊し作業を始めた。同市で同法に基づく空き家の解体は初めて。解体撤去作業は今年12月末までの見通し。

市によると、解体するのは鉄骨6階建ての旅館本館とコンクリートブロック平屋建ての物置の計2棟で、延べ床面積は約977平方メートル。本館は昭和43年5月に建設された。

平成10年に廃業した後、令和3年9月に所有者が死亡し、4年9月に親族らが相続権を放棄。建物は劣化が進み、平成27年以降、周辺住民や自治会から、外壁の一部が落下したなどの通報が何度となく市に寄せられていたという。

解体費は約6255万円で、負担することになっている所有者の親族が相続権を放棄していることから、市は回収方法を検討する。

この日、市経済建設部の脇村哲弘部長が「建築物除去の代執行を実施します」などと宣言文を読み上げた後、作業が始まり、仮囲いの設置などが行われた。

作業の様子を見守っていた逢井自治会の桑原久雄会長(69)は「数年前から特に劣化が進んでいるように感じていた。住民が安全に暮らせるよう危険を取り除いてほしい」と話していた。