龍馬ファン交流イベント、元外相・陸奥宗光の出身地で初開催…志士の「利他の精神」に思いはせ

AI要約

和歌山市で龍馬ファンが集まるイベントが開催され、龍馬と宗光に思いを馳せる参加者が激動の国際社会を生き抜く方法を考えた。

宗光は龍馬と海援隊で活躍し、外相として英国との不平等条約の改正など敏腕を振るった。イベントでは和太鼓や古武術の演武で会場が盛り上がった。

龍馬の兄の子孫である坂本匡弘さんは、現代においても利他の精神が求められていると語った。

 幕末の志士・坂本龍馬のファンが全国から集まって交流するイベント「龍馬ワールド」が13日、和歌山市の和歌山城ホールで行われた。参加者は、今年生誕180年の節目を迎え、龍馬とも関係が深かった和歌山市出身の元外相・陸奥宗光(1844~97年)に対しても思いをはせ、激動の国際社会を生き抜くすべを考えた。

 龍馬ワールドは龍馬ゆかりの地で、定期的に開催されている。今回、和歌山市の市民団体が誘致に動き、同市で初開催となった。

 宗光は紀州藩士の六男として生まれ、20歳の頃、龍馬と出会った。海援隊の一員として活躍し、龍馬の死後は遺志を継ぎ、明治新政府の外交官に。1894年には外相として当時、治外法権を持っていた英国との不平等条約の改正を成功させるなど敏腕を振るったことで知られる。

 この日のイベントでは、和太鼓の演奏や古武術の演武で会場を盛り上げた。開会式では、大会長を務めた本山貢・和歌山大学長が「龍馬や宗光は時代の荒波に立ち向かい、信念を貫いた。2人の志を和歌山から発信したい」とあいさつ。

 龍馬と宗光の志を後世に継承する方法を考えるパネル討論なども行われた。日本史の専門家や町おこし団体の代表者らが登壇し、「たとえ対立の歴史があっても『昨日の敵は今日の友』。歴史を種に盛り上がる機運を作りたい」「現代は、自分の信念に向かって熱くなる機会が少ない。記念館や祭りをきっかけに偉人の志に触れることが大切だ」などと熱心に意見を交わした。

 龍馬の兄の子孫に当たり、坂本家10代当主である坂本匡弘さん(59)(東京在住)は「日本にせよ海外にせよ今は自分の利益を追求する内向きな姿勢が目立つ。幕末の志士が胸に留めた利他の精神が今を生きる私たちにも求められているのではないか」と話していた。