弁護士の半数超が「カスハラ被害」を経験「思い通りにならない相談結果に逆上」「一方的に減額要求された」

AI要約

カスタマーハラスメントの問題と対策について、弁護士や東京都の動向をまとめました。

弁護士へのアンケート結果から、新たな法規制の必要性や期待の声、懸念も含めた様子を紹介しました。

カスハラ防止対策の義務付けに関する意見や議論も取り上げ、労働者保護の観点から検討を行いました。

弁護士の半数超が「カスハラ被害」を経験「思い通りにならない相談結果に逆上」「一方的に減額要求された」

顧客からの悪質なクレームや威圧的な言動などによって、従業員の就業環境が害される「カスタマーハラスメント」(カスハラ)が問題視されています。

対策も講じられるようになっており、東京都では今年度中に、カスハラ防止条例の制定に向けて、議論を本格化させています。また、厚生労働省は、パワハラ防止を義務付けた労働施策総合推進法を改正して、カスハラについても従業員の保護を企業側に義務付ける方向で検討中です。

弁護士ドットコムでは、登録弁護士に、インターネット上の誹謗中傷の相談動向についてアンケートを実施し299人から回答を得ました(実施時期:2024年6月9日~15日)。

その結果、弁護士の半数以上が新たな法規制が「必要」と回答しています。また、自身がカスハラ被害を経験したという弁護士も半数以上にのぼりました。

東京都のカスハラ防止条例制定の動きについて尋ねたところ、カスハラ防止や抑止に「期待できる」「一定程度は期待できる」が55.6%と半数超となりました。一方で、「あまり期待できない」「期待できない」が20.8%となりました。

期待する人からは、「条例の存在により抑止や毅然とした対応ができる」「罰則はなくても、顧客からの過剰なクレームやセクハラまがいの発言を防止する効果は多少なりとも期待できる」など、企業が顧客対応する際の後ろ盾になるという指摘がありました。

期待しない人からは、「カスハラを行う顧客が東京都の条例を意識するとは思えない」「強制力がないため抑止力にならなそう」「既に各事業者が取り組みを行っており、ガイドライン作成などが大きな効果を生むとは考えにくい」など、問題解決につながるのか懐疑的な声が聞かれました。

企業に対して、パワハラやセクハラ対策などと同様に、カスハラ防止対策について義務付けが必要かを尋ねたところ、「必要」が19.1%、「どちらかといえば必要」が32.8%と、約半数にのぼりました。「どちらともいえない」が31.4%、「どちらかといえば不要」が10.4%、「不要」が6.4%となりました。

自由回答では、「努力義務では企業はあまり本腰を入れない」「安全配慮義務の具体化になる。労災認定にもつながる」など、労働者を守るために対応強化を求める声がありました。

一方で、「行為主体が使用者の管理外の者である」「セクハラ・パワハラと異なり、対社外の問題のため、義務付けることまでは必要ではない」「顧客の行為が問題であって使用者にその防止を義務付けるのはやり過ぎ」など、企業への責任の押し付けではないかと懸念する声もありました。