塾や予備校にいる「無能なプロ講師」と「優秀な学生バイト講師」の決定的な差

AI要約

予備校講師の選び方について、浪人9年の経験を持つ筆者が解説。

プロ講師とアルバイト講師の指導力の違いについて詳細に説明。

手作りテキストの危険性や更新頻度の重要性について述べる。

塾や予備校にいる「無能なプロ講師」と「優秀な学生バイト講師」の決定的な差

 計9年間の浪人を経て早稲田大学に合格した経験を持つ筆者・濱井正吾(通称:9浪はまい)が、良くも悪くも浪人を重ねたからこそ分かる「塾・予備校の選び方」をお届けします。筆者は受験生時代に多くの予備校講師と接する中で、「学生アルバイト講師」の指導力が「正社員のプロ講師」を上回るケースを目の当たりにしました。なぜ、こうした現象が起こるのでしょうか。独自の見立てをお伝えしていきます。(教育ジャーナリスト 濱井正吾)

● 正社員のプロ講師が バイト講師より優秀とは限らない!

 私はかつて、家族の事情などで集中して勉強するのが難しい環境にいました。そこから仮面浪人を経験したり、社会人生活と並行して受験勉強を重ねたりする中で、難関大学合格への熱意が高まりました。そして9浪を経て、念願叶って早稲田大学に合格しました。

 そんな私が人生で初めて塾・予備校に通い始めたのは、仕事をしながら夜に時間をとって勉強を始めた22歳のときでした。私の周囲に大学まで進む人がいなかった当時、私の世界や視野を広げてくれたのは塾・予備校の先生方でした。

 しかし長く浪人を続け、さまざまな講師に教わる中で、授業の分かりやすさや生徒の成長度が、必ずしも「講師の経験年数や雇用形態によらない」ことに気づきました。正社員として長年働いているプロ講師ではなく、駆け出しの若手講師や大学生のアルバイト講師のほうが、生徒の学力を引き上げている場合があると気付いたのです。

 そこで今回は、肩書だけでは分からない塾・予備校講師の「本質」を見抜くコツについて解説します。

【次ページ以降】

・プロ講師の「手作りテキスト」に要注意のワケ

・「4浪」の末に某国立大学に合格した友人の話

・「バイト講師が多い塾=ダメな塾」とは限らない

・講師の勤務態度を見れば真の実力が分かる

● プロ講師の「手作りテキスト」に 要注意のワケ

 実力のある塾・予備校講師は、経験年数や雇用形態にかかわらず、最新のデータや入試動向を知っています。使用しているテキストや教え方を見れば、最新情報を追っているか否かはおのずと分かります。

 プロ講師の中には、塾・予備校の公式テキストや市販の参考書ではなく、講師自身による「手作りテキスト」を使っている場合があります。もちろん、講師が作ったテキストが効果を発揮することもありますが、ここに落とし穴が潜んでいます。

 筆者の経験上、講師の手作りテキストは、各科目の「基礎」を学ぶ場合に役立ちます。英単語や英文法、古文単語、数学の公式、歴史の年号……。どこの大学を受けるにしても、各科目の基礎的知識は大変重要です。

 手作りテキストをひもとくと、これらを効率よく覚えるための、講師独自の語呂合わせに基づく暗記法・思考法などが記されているケースがあります。プロ講師の「秘伝の技」を知ることは受験生にとって役立つでしょう。

 しかし、各大学に特化した問題演習などの「応用」においては、手作りテキストが心強い味方になるとは限りません。

 というのも、塾・予備校のプロ講師は日頃から多くの授業を抱えているだけでなく、テストの作成や採点、生徒との面談、保護者の対応、報告書の作成、集客(生徒集め)のための広報活動など、多岐にわたる業務に忙殺されています。

 結果、肝心の「手作りテキスト」の修正やアップデートがおろそかになり、内容がほぼ更新されないまま使い回されるケースが頻繁に出てくるのです。

 筆者が実際に教わった中では、テキストを4年以上更新していない講師がいました。彼は現在の出題傾向から大きくズレているにもかかわらず、特定の問題を「某大学の典型問題(頻出問題)」として扱っていました。

 古いテキストの問題を解くことも無駄ではありませんが、志望校合格というゴールにたどり着く上で遠回りになるのは確かです。

 その反面、少しずつでも手作りテキストを更新している講師は信頼できます。

 筆者の友人には、現役時代のセンター試験(現:共通テスト)の成績が45%しかなく、その後「4浪」の末に某国立大学に合格した男性がいます。彼が通っていた予備校の講師はテキストの内容を毎年更新していたので、友人の学力も地道に上昇。紆余曲折あったものの、最終的には良い結果を勝ち取りました。