難化する男子難関中学受験の2024年入試を振り返る。エルカミノ代表に聞く来年の展望

AI要約

中学受験生の夏の動向について、御三家や難関校の動向、受験傾向の変化などが明らかになる。

開成や武蔵、麻布などの御三家の人気や難易度、共学校への志願者の動向が述べられている。

今年の受験生は慎重な選択をし、男子のトップ層は全体的に良い結果を残す傾向が見られた。

難化する男子難関中学受験の2024年入試を振り返る。エルカミノ代表に聞く来年の展望

 中学受験を目指す受験生の熱い夏が始まった。中学受験生の数は高止まりしており、2025年も激戦になることは確実だが、その中でも男子の難関校受験における学力上位層の戦いは、さらに高度なものになっていくだろう。2024年入試を振り返りながら、来年の動向はどうなるか、どう戦っていけばよいのかを、中学受験塾の中でも難関校対策で定評のあるエルカミノの村上綾一代表に話を聞いた。

 ――昨年はコロナ禍の行動制限が解除されたためか、受験生のチャレンジ傾向が強めでした。その反動か、今年は慎重な受験傾向で難関校の志願者が減ったとされますが、御三家の動向は村上先生から見ていかがでしょうか。

 村上:御三家の中で開成は相変わらずの人気(志願者は前年度比-2.3%)でしたが、実際の難度は高くなっています。最難関私立でありながら、改革を続ける姿勢、新校舎の完成などで注目されています。かつては、男子の学力トップ層は2月1日にいろいろな学校を受験しましたが、昨今は開成に集中する傾向があります。特に近年は学習面でも面倒見のよさが出てきたとの評判が広がっていて、さらに人気が高まっています。

 武蔵は出願数が減少していますが(前年度比-9.2%)、今年の入試は難しかったですね。武蔵でしか受けられないアカデミックな教育、緑豊かな環境。どうしても武蔵にお子さんを入れたいという熱烈なファンがいらっしゃいます。

 一方で、男子の間でも共学志向が広がっていて、人気の共学校である渋谷学園渋谷や広尾学園に近いこともあり、麻布は志願者を減らし(前年度比-10%)、難度も若干下がりました。

 今年は「慎重な受験」傾向だったといわれますが、学力がトップ層の男子たちにはいい影響がありました。例年、男子の学力トップ層は、2月1日は開成、2日は聖光、3日は筑駒という強気の受験をし、結果どこにも合格せず、いわゆる「全落ち」という事態になってしまうこともありましたが、今年はそれが少なかったんです。

「1日はどうしても開成を受けたい」男子が、2日は聖光より少し難度が低い渋谷学園渋谷を受験したり、3日は早稲田や海城を受けたりするという選択肢が増えました。ほとんどの生徒がどこかの私立中学に合格でき、努力したことが報われるいい受験ができたと思います。慎重な受験校選びは、生徒にとってプラスが多いですね。