米兵性的暴行事件「公益性」か「プライバシー保護」か 再発防止の観点からも通報体制の在り方が問われる

AI要約

沖縄県でアメリカ兵による少女を誘拐し性的暴行をした事件が発覚し、政府や県警の情報共有体制に問題が指摘されている。

関係省庁や県警が公表を避けた理由について、プライバシー保護と公益性のバランスが取りざたされている。

専修大学の山田教授や玉城知事が被害者の権利と事件の公益性を考慮し、情報共有の重要性を訴えている。

米兵性的暴行事件「公益性」か「プライバシー保護」か 再発防止の観点からも通報体制の在り方が問われる

沖縄県でアメリカ兵による少女を誘拐し性的暴行をした事件が明るみになったのは、発生から半年が過ぎてから。この間、政府や県警は県に情報を伝えておらず、その後もアメリカ兵による暴行事件が発生していたことも分かり、再発防止の観点からも通報体制のあり方が問われている。「公益性」か「プライバシー保護」か、識者の視点を交えながら考える。

那覇地裁で2024年7月12日に行われた初公判。事件は2023年12月に発生し、明るみとなったのは2024年の6月下旬。

この事件が発覚した直後、県内では5月にも、アメリカ兵による女性への性的暴行事件があったことも報道によって明らかとなった。

言論法に詳しい専修大学の山田教授は、一連の事件が政府や県警によって県や関係市町村に伝えられていなかったことを問題視する。

専修大学 山田健太教授:

米兵の性犯罪であるという県民にとって極めて重要な命、生活の日常的な安全に関わる事案でありますから隠すことはありえない

公表しなかった理由について林官房長官は、「関係者の名誉・プライバシーへの影響、将来のものも含めた捜査公判への影響の有無程度を考慮し、公表するか否かや、その程度および方法を慎重に判断している」と述べた。

1997年に日米で合意された、在日アメリカ軍の関係する事件や事故に関する通報手続きでは、日本人が巻き込まれた場合、各地の防衛局を通じて県や市町村に通報すると定めている。

しかし、アメリカ兵による性的暴行事件は2023年12月から2024年5月までに5件発生していましたが、関係省庁や県警は県に通報していない。

こうした対応に玉城知事は強く反発した。

玉城知事:

情報が先に提出されていれば、我々から米側にも国に対しても申し入れをして被害が発生することがないようにという注意を出来たと思います

山田教授は、警察や政府機関は逮捕起訴段階において、公権力を行使した事実を遅滞なく開示する義務があるとしたうえで、社会の公益性にかなうものについては被害者の人権に最大限に配慮をしつつ公開すべきとしている。

専修大学 山田健太教授:

米兵の性犯罪というのは、事件の中でも最上級の公共性公益性があるものであって報道することが大原則となります。初めにプライバシー保護ありきになると、全ての事件は公開できないし報道できなくなってしまうということになると思います。

玉城知事は、再発防止の観点からも「被害者のプライバシー保護に最大限重点を置いた上で」として、情報共有のあり方について自身の見解を示しています。

玉城知事:

具体的な地名や状況などを伝えなくても、注意喚起は十分に図ることができる。アメリカ軍による事件・事故が発生した場合には、綱紀粛正を呼びかけることなどの要請も行うことができるので、情報の周知徹底は非常に重要だ