「ノアの箱舟のようですね」 建築家・隈研吾さんとご懇談も 天皇皇后両陛下が日本芸術院授賞式にご出席

AI要約

天皇皇后両陛下は6月10日、日本芸術院賞の授賞式に出席

建築家・隈研吾さん、小説家・多和田葉子さん、能楽師・福王茂十郎さんが受賞

受賞者の作品について説明を受けた両陛下

「ノアの箱舟のようですね」 建築家・隈研吾さんとご懇談も 天皇皇后両陛下が日本芸術院授賞式にご出席

天皇皇后両陛下は6月10日、東京・台東区で行われた、日本芸術院賞の授賞式に出席されました。

美術・文芸・演劇などの芸術分野で、大きな功績のあった人に贈られる「日本芸術院賞」。今回は、小説家の桐野夏生さんら9人が受賞しました。

このうち、特に優れた業績をあげたとして建築家の隈研吾さん、小説家で詩人の多和田葉子さん、能楽師の福王茂十郎さんの3人には合わせて「恩賜賞」も贈られました。

陛下は、80回の節目となる授賞式でおことばを述べられました。

「芸術文化は、長い歴史の中で、自然や風土、社会や人々の生活を反映しながら育まれ、人々に親しまれてきました。その継承発展は、長きにわたる国民の弛(たゆ)みない努力の成果であり、携わる方々の日々の研鑽さんと修練に支えられるものであると思います。近年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大では、芸術文化に携わってこられた方々の御苦労もいかばかりであったかと思います。今後とも人々が心豊かな生活を送り、活力ある社会を築く上で、芸術文化が重要な役割を果たしていくことを心から願っています」

両陛下は、恩賜賞の受賞者3人からそれぞれの作品などについて説明を受けられました。

隈研吾さんは、平成30(2018)年、イギリス・スコットランドの川沿いに建てられた博物館の設計が授賞対象となりました。スコットランドを象徴する「崖」をイメージしたデザインです。

博物館の写真を見て「ノアの箱舟のようですね」と話された陛下。「どんな木を使われたんですか」と尋ねられていました。

5月に両陛下も視察された岡山県倉敷市真備町の復興防災公園「まびふれあい公園」も話題に。公園は隈さんの設計で、建屋には地元特産の竹が使われています。

皇后さまは「曲線がとても美しい」「竹の太いものから細いものまで」などと印象を話されました。また陛下は「親しまれる建築を目指している」という隈さんに「設計されるときに周囲の環境を考えられるのですね」と述べられました。

日本語とドイツ語の両方で創作活動を続けている多和田葉子さんは、ドイツ在住でこの日は欠席。両陛下は、代理で出席した翻訳家から作品の説明を受け、多和田さんの手書きの原稿などをご覧になりました。

能楽師の福王茂十郎さんは、絵巻や500年以上前の扇を用意し、両陛下は「貴重なものですね」と話しながらご覧になりました。

福王さんは、両陛下が結婚されたときに陛下の同級生・能楽師の観世清和さんらと東宮御所でお祝いの演目を披露していて、両陛下は「その節はありがとうございました。懐かしいですね」と話されていました。

文化芸術のさらなる発展を願われた両陛下です。

(「皇室ご一家」6月30日放送)