【密着】新たな規制、富士山どう変わった?巡回指導員のパトロール同行で見えたのは

AI要約

富士山登山の安全対策が強化され、規制や通行料が導入された今年の様子を報告。

巡回指導員の活動や登山者の安全意識向上の取り組みについての詳細。

一方で、登山者の軽装登山や弾丸登山が依然として問題となり、死亡事故も発生。

【密着】新たな規制、富士山どう変わった?巡回指導員のパトロール同行で見えたのは

 静岡県側の富士山が10日午前9時に開山しました。山梨県側では9日、1日の山開き後初めて登山中だった中国籍の男性が死亡したことが明らかになりました。規制が導入されてから、新しい富士登山はどう変わったのでしょうか?

 今年も多くの人が富士山を訪れています。

巡回指導員 太田安彦さん

「そのまま弾丸登山するというのは、とても危険かなと思います」

山梨県吉田口 五合目救護所

森下聡子看護師

「これ、腫れているでしょ。病院に行った方がいいと思います」

 入山規制や通行料など様々な試みが導入された今年の富士登山。その効果は出ているのでしょうか?

 8日に番組が同行したのは、登山道の安全を確保する巡回指導員・太田安彦さんのパトロールです。

 今年は毎日、多い日で6人、少ない日でも2人体制で富士山を巡回。例年よりも厳戒態勢を敷いています。その理由は…。

 去年、8合目の山小屋付近の映像です。体を休めるため、登山道で横になっている人の姿が映っています。

 「弾丸登山」や「軽装登山」が続出し、危険行為が相次ぎました。

太田さん

「風が強いので、気を付けて」

「山頂に行ったのですか?」

 太田さんは軽装で歩く登山者たちに声を掛けて、注意を呼び掛けます。

 番組スタッフが登山道の6合目付近で出会ったのは、スウェーデンからの観光客6人組。日帰りで富士登山を行うといいます。

 しかし、半袖や半ズボン姿で軽装登山に見えますが、しっかりと防寒対策はしていました。

スウェーデンからの観光客

「(Q.頂上は寒いけど、大丈夫ですか?)たぶんね。ジャケットをしっかり着るよ」

 観光客が、続々と富士山を登っていくなか、午後4時になると、入山規制のため山梨県側の富士山の登下山道のゲートが閉められました。

 今年から通行料として一人あたり2000円が徴収され、一日の登山者の上限が4000人に制限された富士山では、山梨県側の5合目にゲートを設置。午後4時から翌日の午前3時まで閉鎖され、山小屋の予約者以外は登山道を通過できません。

 しかし、午後4時より前ならば、山小屋の予約がなくても登山道に入ることができるため、ギリギリ閉鎖時間前に弾丸登山をする人の姿がありました。

太田さん

「(登山)ツアーが山小屋から山頂に夜間、向かえないぐらい風が吹いていて、撤退しているツアーも連日たくさんある」

 今年も強行される軽装登山や弾丸登山。一概には言えないとしつつも、太田さんは今年の富士山は様子が異なると話します。

太田さん

「午後4時からの規制で、それまで夕方に(山に)入る弾丸登山というのも、少なからず数百人いた。数十人から数百人はいたんですけど。一切(登山道に)入れなくなったところでは、夜の登山道、その時間帯の登山道がほんと静かだったり、トラブルも本当に少ないです」

 富士山の状況は改善されつつあるといいますが、常に危険と隣り合わせの富士登山。9日、登山中だった58歳の中国籍の男性が、8合目付近で体調不良を訴えた後に意識を失い、救護所に搬送されましたが、死亡が確認されました。

 7月の山開き後、登山者が死亡したのは初めてです。