政府クラウドで来春新法 利用料で預かり金 デジタル庁

AI要約

デジタル庁が新法を検討中のガバメントクラウドについて、民間事業者へのクラウド利用料を国が保管する仕組みを創設することが示唆された。

政府クラウドは、国が民間から調達するクラウドサービスであり、今後自治体などは利用料を自己負担することになる。

新法「ガバメントクラウド利用に関する法律案」では、民間機関のクラウド利用料も預かり金として処理する枠組みを整備し、政府クラウドの活用が進められる見込みだ。

 国と自治体の共通クラウド基盤「ガバメントクラウド(政府クラウド)」について、デジタル庁が新法制定を検討していることが5日、分かった。

 自治体などが民間事業者に支払うクラウド利用料を「預かり金」として国が一時的に保管する仕組みの創設などを盛り込む。今秋にも想定される臨時国会に提出し、2025年4月の施行を目指す。

 政府クラウドは、国が民間から調達するクラウドサービス。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)など5社が提供事業者として選定されている。デジタル庁が国の分と、自治体などの分を合わせて利用料を支払うことで、大口割引やクラウド事業者のサポートサービスを受けられる仕組みだ。

 現在、自治体などは利用料を支払っていないが、25年度以降は自己負担することになっている。

 新法は「ガバメントクラウド利用に関する法律案」(仮称)。デジタル庁と関係省庁が協議した結果、自治体など国以外の機関は利用料を国に支払い、国はこれを「預かり金」として一時保管し、国分と合わせてクラウド事業者に支払う枠組みが固まった。預かり金として処理するには根拠法令が必要になるため、新法を制定する。

 政府クラウドを活用し、住民が氏名や住所などを紙に記入せずにさまざまな手続きができる「書かない窓口」といった事業もできるが、こうしたサービスを提供する民間企業のクラウド利用料も預かり金として扱えるようにする。新法には、政府クラウドの利用の在り方全般に関する項目も盛り込む方向だ。

 23年9月に改定した国の基本方針では、政府クラウドの利用料は「利用に応じて自治体が負担する」と明記し、当初は24年度から適用されるはずだった。しかし、会計上の扱いを巡りデジタル庁と財務省の協議が難航。自治体から利用料を預かって国が保管した上で事業者にまとめて支払う制度の設計が間に合わず、25年度以降にずれ込んだ経緯がある。