教師の安易な「イイね!」が子どもの意欲を削ぐ
教師が子どもたちに「発表させる」ことに固執しすぎず、むしろ「考えさせる」ことに重点を置くべきだという課題が取り上げられる。
教師の一言一言が子どもたちの発表意欲に影響を与えることが示唆され、適切な対応が求められる。
「いいね」などの簡単な肯定的な反応が、子どもたちの発表意欲を抑制してしまう可能性があり、注意が必要。
NG:(教師の望む考えに対して逐一)「いいね「」素晴らしい」
今回は、授業での子どもの発言を知らない間に抑制している「NGコトバ」を取り上げます。
教師間でよく交わされる悩みがあります。それが、「どうしたら子どもたちが発表するか」ということ。
教師って、子どもたちに「発表させたい」と思ってしまう存在なのですよ。
でもね、そもそも過剰に「発表させたい」と思う必要はありません。
思うべきは、「考えさせたい」「思考させたい」ということ。
とはいえ、意見交流させることで読みは深まるし、教室という場所で学ばせている以上、活発な意見の交換をさせたいのは当然のこと。そのために、「発表させたい」という気持ちになるのです。
そこで、発表させるためについ我々教師は「発表させる手立て」ばかりに躍起になってしまうのですが、その前に、子どもたちが「発表しない」のは、「発表できない環境」を教師が作ってしまっているということを意識したいのです。
我々教師の何気ない対応で、子どもたちがどんどん「発表したくなくなる」。怖いですよね。
その状況を呼んでしまうのが、今回取り上げる「NGコトバ」です。それが、子どもの書いたものに対して、「いいね」「素晴らしい」という反応を返してしまうこと。
これらの言葉自体は素敵なのですが、今回お伝えするのは、そのシチュエーションを間違えるとNGになる、という話です。
子どもたちに「自分のノート(もしくはICT 機器)に考えを書いて持ってきなさい(提出しなさい)」と指示をする場面があります。
その時に、教師は書き終わった作品を一つひとつチェックすることがあるのですが、その際、教師が望む書きぶりや意見に対しては何気なく「いいね」とか、「素晴らしい」とか、「(喜ぶリアクション)」などでどんどん返してしまうことがあるのです。そして微妙な意見に対しては「はい」とか、「(微妙なリアクション)」とか、「(沈黙)」という風なリアク
ションをしてしまう……。それがNG なのです。
教室の中では、まずはさまざまなどんな意見もOKという空気がなければ子どもたちの【誰もが】「話そう」という気になれません。どんな意見も出していいのだ、と子どもたちが思っているから、堂々と発表できるわけです。
しかし、先のようなコトバをかけてしまうと、子どもたちの意識の中に、「良い意見を書かなければならない」とか、「ああ、そういうことを書かなければ先生は喜ばない」という意識が生まれてしまいます。それでは、意見を書いても、「発表しよう」とはならないですよね。
「書かせて」→「対応」する際は、子どもたちがその後に堂々と発表できるかどうか、も考えて「対応」(言葉がけ)するべきなのです。
安易な「いいね」は、評定としてその子に示すことになり、それを聞いている、見ている他の子どもたちの発表意欲を抑制してしまう結果につながってしまいます。
ではどうすればいいのか、どのように対応すればよいのか。それが、次のコトバです。